第14話 《夜天》邂逅

雷光の獅子座レグルス!」


 雷光の獅子座が咆哮による雷撃を行う。

 王都郊外の草原で依頼のウルフ系の魔獣を狩っているのだが、活性化の話は本当なのだと実感した。

 倒しても倒しても、ひっきりなしに遭遇し、猪などの他の魔獣に全く出会わない。代わりに様々なウルフ系魔獣と遭遇している。グラスウルフに始まり一角狼、魔法を使うファイヤウルフ、ウィンドウルフ、アースウルフ等々、それはもうたくさん。しかも五、六体の集団でやって来る。

 そんなわけで、魔道書庫アーカイブを使い雷光の獅子座を呼び出し、襲い来るウルフたちを倒していた。

 攻撃を雷光の獅子座に任せ、俺は魔石の回収に勤しむ。雷光の獅子座が攻撃するたびに魔力を消費するが、あまり減っている感じがしない。現在のステータスは……


 アビリティ

 力:C

 耐久:B

 器用:A

 敏捷:B

 魔力:EX


 スキル

 回復魔法、補助魔法、全耐性、空間収納アイテムボックス


 称号

 ******


 神器

 魔道書庫アーカイブ


 とあまり変化がない。EXとなってからは、魔力の枯渇を感じたことがない。と言うかSSSですら規格外と言われたのに、EXと言う謎のランク。ステータスはこれ以上、上がることは無いのかもしれない。

 さてと、まだまだ大群なウルフたち。ちょっとだけ新しい技を試してしてみようか。


雷光らいこう獅子ししよ、我が身にまといてころもと化せ!」


 雷光の獅子座レグルスが輝きを放ち、獅子の姿から形を変え、俺の身に纏われる。


「おぉ!これはまさに雷光を纏ってるな」


 雷光の獅子座を衣として纏い、一体化する。さしずめ獅子王の衣レグルスネメアかな。


「さぁ、やってみようか」


 トントンっと片足で地面を蹴り、標的を先頭のグラスウルフに決める。地をしっかりと踏み蹴りだす。グラスウルフに接近すると拳を振るい殴り飛ばす。

 殴っただけだが一撃にて倒すことに成功する。おそらく、自身の力+雷光の魔力が相手を攻撃している。この調子で向かい来るウルフ全て、肉弾戦で倒すか!


「ハァァ!!」


 一撃必殺で目につくウルフたちを倒していく。

 結果、向かって来ていたウルフたちを全て倒すことに成功する。衣ひいては魔道書庫アーカイブの神器を解除する。そして倒したウルフたちから魔石を回収していく。

 その際に考えるのは先ほど使った『獅子王の衣』のこと。強力ではあるが雷光の獅子座単体で使用した時と比べると燃費が悪く感じた。雷光の獅子座単体で使用するなら消費するのは魔力だけ。しかし衣として纏うと、魔力と体力の両方を消費していく。

 神器を行使するだけでなく、自身が戦うスタイルだから当然との事と言えるだろう。槍や剣を使用している時と同じ。ただ疲労感が槍や剣を使用している時と比べて、衣の時はかなりある。

 ……短期決戦やルール内の戦いでなら力を発揮する感じ。そうなるとむやみやたらと使えるものじゃないな。

 とまぁ、そうこうしているうちに夜も更けてきた。今日は雲1つ無く月の光も無い、まさに夜天の空。出会う条件としては、申し分ないが……果たして。

 魔道書庫アーカイブを手にしばらくあてもなく歩き回ってみる。さっきまでひっきりなしに遭遇していたウルフ系の魔獣と遭遇しなくなった。


「これは……嵐の前の静けさ、ってやつかな」


 何か不穏な空気を感じ取り、閉じていた魔道書庫を再び開き、接続を開始する。


「『十二星座の王と巫女』に接続、重識の天秤座リブラの魔レンズ、アナライズ」


 片眼鏡の形状をした魔レンズが出現し、装着する。魔レンズを通して辺りを見回すと不自然な揺らぎを発見する。魔レンズを通していない方の目には不自然な物は何もない。ただの草原にしか見えない。しかし魔レンズを通して見た方には、かなり巨大な揺らぎを捉える。


「揺らぎと言うか、巨大な何が歩いているのか」


 呑気に見ているとその巨大な何かは気高く遠吠えを上げた。それは俺が見ていることに気付いていると言う意思表示であり、開戦の合図であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る