第13話 試練の眷獣

 遺跡の調査を終えて数日。ギルドに行き、壁画と絵文字について訊ねると壁画は解析が進んでいるが、絵文字の方はいまだに解明されていない物、詳しくは図書館で調べてくれと。

 なので独自に調べてみると、あの壁画は数千年前に夜天のリュカオンに挑み、その戦いを描いた物だそうだ。

 その夜天のリュカオンは実在する生き物らしい。古い書物にもその存在が書かれおり、いわく、破壊を司る神様が地上に放った獣。世界を終わりに導く眷獣の一体。夜と地を司る眷獣『夜天やてんのリュカオン』などと……。ちなみに眷獣とは眷属の獣、眷属獣の略称。

 世界を終わりに導く眷獣は他にも、宝と空を司る『宝物ほうもつのファーヴニル』、毒と海を司る『毒蛇どくじゃのヨルムンガンド』の二体、存在するらしい。

 これら三体は破壊神様の『試練の眷獣』と呼ばれ、挑戦する者はいるものの、今だ一体も倒されていないそうだ。

 以上がここ数日、図書館などで調べた結果であった。


「救いの眷属ねぇ」


 調べていて分かったことかもう1つあって、何でも聖女様が最高神である創造神様から神託を受けたとか。要約すると、滅びへ向かうこの世界を救うべく、自身の眷属を世界に下ろした。その者と協力して試練を乗り越えよ。と言った内容らしい。その眷属の事を世界各国が探しているそうだ。そう言えばレオナさんたちもそんな感じの事を話してたような……。


「まぁ俺には関係ないかな」


 調べものも一段落し、久しぶりに冒険者ギルドへ向かう。ギルドに入ると少し慌ただしく、ピリついていた。

 不思議に思いつつも掲示板を見ると、このギルドの雰囲気の理由が張り出されていた。


夜天やてんのリュカオン目撃情報?」


 どうやらリュカオンが王都近くで目撃されているようで、それに伴ってウルフ系統の魔獣も活性化しているらしい。目撃情報はいずれも夜。なので命が惜しい者は夜間外出は控えるようにとのことだ。

 試練の眷獣か……少し気になる。まぁさておき、依頼を受けようか。


「えっ~と狼、ウルフ系の魔獣討伐依頼が多いな……じゃあこれを受けるか」


 受付に持っていき依頼を受ける。その際に夜間は気を付けるように釘を刺された。……あえて夜間に行ってみるか。

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