第12話 遺跡調査
「やぁぁっ!」
襲い来るコボルドの剣を白銀の機剣で弾く。キィンと言う音が響きコボルドがのけ反る。そこにすかさず機剣を振るい切り裂く。
「ふぃ……これで七体目かな」
倒したコボルドから魔石を取り出しつつ呟く。依頼を受け遺跡へやって来ると、待ち構えていたのはコボルドであった。
「次が来たね」
遺跡の奥から更にコボルドが現れる。視認すると同時に機剣を構えコボルドへ向けて走り出す。
「はあっ!」
一撃にて首をはねる。手早く魔石を回収し移動する。実は何の遺跡なのか、少しばかり気になっていた。
と言うのも、壁に残る絵文字や壁画の内容が……分かる気がする。この遺跡の文字や壁画については、いまだに解明されておらず、読む法則も分かっていないと言う話だったのだが……。
「リリース」
白銀の機剣が本の形へと変わる。
「白銀の機槍」
今度は本の形が白銀の機槍へと姿を変える。
「破魔の光を持ちて、我を守る楯と成せ!」
戦闘の合間にチラッと見えた程度だけど、描かれていたのは戦いの絵。大きな狼と人の戦闘を描いたものだ。絵文字の文の方は確か……
「夜天、……、リュカオン、の、試練……?」
…………そう言えば何で読めるんだろ?それに試練って何の事だ?いや、何か記憶に引っ掛かりがあるような。そうだ、前にサクラと話してた時に言ってたやつだ。S級になる条件のやつ。まぁ同じ事を指しているかは、分からないけど。
バチッ、バチッ、ガッキン
結界から妙な音が聞こえ顔を上げると、普通のコボルドよりふたまわりほど大きいコボルドが結界に攻撃をしていた。
「コボルドロードかな?ってちょっ、流石に結界が持たんか!?」
コボルドロードの攻撃で結界にヒビが入り始めた。突き立ていた白牙狼を手に取ると結界が解除される。再びコボルドロードの攻撃が振り下ろされる間際に遮蔽物のない、開けた方へ転がるように回避した。
見通しは良くなったが、コボルドたちに囲まれてしまう。状況把握するとコボルドロードが一体、取り巻きのコボルドが五体。白牙狼で全てのコボルドを捌くにはちと苦しい。なら……
「リリース」
白銀の機槍が本の形へと戻る。
「現れよ!
本が輝き雷光の獅子が現れる。
「
雷光の獅子が吼えると、雷撃の雨がコボルドたちへ降り注ぐ。通常のコボルドたちには致命傷を与え倒すことに成功し、魔石がその場に転がる。が、コボルドロードは手にしていた曲刀を投げて、避雷針代わりにする事で雷撃を回避した。
やっぱりロードだけあって賢いな。けど
「雷光よ!」
俺の指示を聞き雷光の獅子座は雷属性と光属性が混ざった雷をコボルドロードへ向けて放った。
今度はコボルドロードへ命中するが、あまりダメージは入っていないようであった。しかしコボルドロードを怒らせるには十分すぎる攻撃だった。コボルドロードは曲刀を拾いこちらへ接近してくる。
「やばっ!雷光の獅子座!」
雷光の獅子座はすぐさま対応する。向かい来るコボルドロードの前に出ると咆哮を浴びせる。が、動きは止まらず、雷光の獅子座は曲刀で切り裂かれる。
雷光の獅子座の召喚が解除され、体力が一気に減った感じがする。行動不能なダメージを受けると強制解除されてその分魔力と体力が減るのか。
「白銀の機剣!」
本が白銀の機剣へと姿を変える。
「切り裂け、
向かい来るコボルドロードの前に自身の前で回転させるように機剣を振るう。
コボルドロードの曲刀が迫るが、機剣を振るった辺りで曲刀がキンッと言う音を立て弾かれる。その隙に距離を取る。コボルドロードがもう一度曲刀を振るうと、今度は下まで振り下ろされた。
夕姫の能力の1つ空間切断で擬似的な盾を作ってみたが、一度攻撃を受けると解除されるようだ。性能は分かった。これなら確実に切り裂ける。
コボルドロードが叫び声を上げながら曲刀を振るう。こちらは夕姫で曲刀を受ける。
「重っ!」
かろうじて弾き返す。筋力が向こうの方が上。なら……
「夕姫!」
機剣が淡く輝きを放つのを確認して、コボルドロードへ一撃を放つ。
コボルドロードは曲刀で迎え撃つが、曲刀が真っ二つになる。
今の夕姫は空間切断の能力を刃に纏っている状態にある。なので撃ち合っても容易に斬り裂くことが出来た。
「これで終わりだ!」
コボルドロードの胴へ向けて袈裟斬りに夕姫を振り抜く。断末魔をあげてあっさりと真っ二つになる。どうやら倒せたようだ。増援を警戒するが、来る様子がないので白銀の機剣をリリースして
コボルドたちの魔石を順に回収していく。
「はぁ……流石に疲れた」
流石にこれ以上の探索は不可能と判断し、少し休んでから遺跡を後にし王都へと戻る。
戻ったら討伐報告と、壁画と絵文字について聞いてみるか。
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