第8話 王都へ
旅の準備を整え、俺は王都アークガルドへ行くことを決めた。理由?直感だ。
馬車を使えば五日程らしいが、旅の準備の結果、馬車代は足りなかった。
まぁ馬車に乗らなくても、足にはあてがある。けどお金も稼いでおきたいので歩いて向かう。道中で魔獣とかを狩って、牙や毛皮に魔石などを回収していけば、王都に着く頃には、十分な稼ぎになっている事だろう。ほどよく狩れたところで、召喚して移動すればいい。
そんな大雑把な計画で旅を初めて三日目の道中、前方の方向から何やら争うような音が聞こえる。
厄介事には巻き込まれたくないし、姿を隠して様子をみるか。
「
手早く神器の本を出現させ、姿を不可視化し進んでいく。ほどなくして現場に着く。どうやら馬車が盗賊に襲われているようだ。
護衛は2人……いや倒れている人を含めると5人か。対して盗賊は倒れいる三人を含めて8人。2、2、1で分かれている。あの1人の奴は頭目か?……ん?茂みに2人隠れて矢を構えているな。と言うことは全員で10人。現状の倒れている人を除けば、2対7の構図か。あ、2人も殺られたっぽい。残るは馬車の中にいる人だけ。馬車には何やら家紋のようなものが付いている……助けた方がいいか、やっぱり。
「『十二星座の王と巫女』に再接続、
助けることを決めると即座に行動に移す。魔道書庫を開き、
あとは盗賊の首にターゲットを絞って……
「ファイヤ!」
俺の掛け声と共に、不可視の風鎌が発射される。
茂みに隠れた2人の首を飛ばす。続いて護衛を襲っていだけ4人にも上手く命中し、こちらも首が飛ぶ。
しかし一人、頭目と思われる奴。こいつには不可視の風鎌を避けられた。と言うか、こちらの攻撃にいち早く気付き構えられた。
警戒された以上、不可視化攻撃のメリットはもうないか。不可視化を解いて相対するしかない。
「
不可視化を解き、姿を表す。頭目が俺を視認して声をかけてきた。
「お前か?俺たちの邪魔をしたのは?」
「違うと言ったら?」
「としても仲間の仇、見られた以上、お前も殺す!!」
「だよねぇ!白銀の機槍!!」
頭目は曲刀を大振りに振るった。俺は神器を本の形から白銀の機械仕掛けの長槍へと姿を変える。
曲刀と機槍がぶつかり合い、キィンと言う音を立てた。そのまま斬り合いが始まる。俺は白銀の機槍を手に頭目の曲刀と渡り合う。
「クッソ!風よ、弾丸と、なりて、撃ち抜け!!」
頭目はなかなか俺を仕留められない事にイラついたのか、曲刀を振るいながら詠唱を行う。
あの詠唱は風の弾を飛ばす風弾の呪文。そうか、風属性に適性があったから不可視でも風属性特有の音にいち早く気付かれてバレたのか。
風の弾と曲刀が同時に迫ってくる。
「ッ、応えて
白銀の機槍に呼び掛けると、それに応じるように機槍が光り輝き、リィンと言う音を立てると頭目の風弾を打ち消す。機械仕掛けなのは特殊な仕掛け施されているからであった。その仕掛けの一つ、魔法の無効化。機槍を中心に狭い範囲ではあるが、魔法を無効化できる。
「はぁ!?」
「チェックメイトだ」
曲刀を弾き飛ばし、頭目の首もとに機槍を突き付ける。
「おとなしく降伏しお縄に着くなら殺しはしない。さぁどちらを選ぶかな?」
「ッチ。降参……すると思ったか!!」
頭目は隠し持っていたナイフで飛び掛かってくる。
ある意味、予想通りの展開。頭目の行動に落ち着いて対応する。機槍を振るい頭目の首を飛ばす。頭目の首はそのまま地面に落ち、転がっていった。
それにしても成り行きとは言え初めての対人で、人を殺めてしまったけど……そこまでショックとかは無いな。相手が殺す気で来てたからかな?ん~、俺の感覚がズレている可能性もあるか。と、生存者確認しないといけないか。
護衛に生存者がいないか確認するがやはりみな絶命していた。あとは馬車の中の人物。
俺は馬車に近寄ると扉をノックする。が返事はない。どうするか悩んでいると、扉をが勢いよく開き、女の子が飛び出してくる。その女の子は短刀を手に飛び掛かって来た。
「お嬢さま!今のうちにお逃げ下さい!!」
短刀を機槍で受け止め競り合いを行う。
もしかして襲撃者と間違われている!?
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