第7話 別れ

 初心者を卒業しての初依頼。何を受けるか依頼が貼られたボードの前で悩んでいると、サクラが手招きして呼ぶのが見えたので移動する。


「マシロ、Bランク依頼を体験してみますか」

「あれ?俺ってまだC級だから、Cランク依頼までしか受けられないんじゃ?」

「私がB級ですから、私と一緒に行動する限りは上位依頼も受けられますよ。それでどうします?」

「どんな依頼なの?」

「私が元々受けていた護衛依頼です。この町を出てオルレアと言う街へ帰ります。依頼主に話を通せば、問題なく雇って貰えると思いますよ」

「ん~……遠慮しておくよ。初級者になったことだし、ここからは一人で頑張ってみるよ」


 思い切って言うとサクラは少し悩むが、分かりましたと言う。


「心配ですけど……マシロがそう言うなら、尊重します。C級のソロはざらに居ますし、記憶の件を除けばB級は確実な実力ですからね、マシロは」

「今までありがとう、サクラ」

「いえ……こちらこそです。本音を言えば、記憶のが戻るまで面倒を見たかったのですが……」

「サクラにも事情があるだろうし、遅かれ早かれ、こうなってたさ」

「それは、そうかもしれませんが……。何かあればオルレアを訪ねてください。私のホームですし、オルレアを中心に活動してますから」

「オルレアね。ん、覚えておくよ」

「では私はそろそろ時間なので行きます。また会いましょうね、マシロ」


 握手をしてサクラと別れる。

 さて、と。俺は今後どうしようかな?取り敢えず稼ぎはそこそこにはある。宿は今朝引き払っている。

 ……よし、思い切って別の街に行ってみよう。そうと決まれば、地図と食糧の準備だな。

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