第2話 目覚め

 目が覚めると青空が見えた。

 天気は快晴、鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 立ち上がり周りを見渡すと草木に覆われている。

 ここは何処だろう?パッと見は広い草原のような……そう言えば、何か夢をみていたような。


「……取り敢えず歩いてみるか」


 そう判断して、歩き出す。しばらく歩くが……いやこれは遭難してるだろ。目印もなく、取り敢えず歩いたのは失敗だったか。

 ぐぅ~、とお腹が鳴る。

 あ、不味い……空腹でふらついてきた。木にもたれて少し休もう。



         ◇◆◇◆◇




 目を覚ますと知らない天井だった。

 ゆっくりと起き上がり、周りを見回す。

 部屋の中の様だが、またも何処だろう、ここは?


「あ!目を覚ましましたか?」


 状況を掴めずにいると女の子が扉から入ってきた。


「大丈夫ですか?怪我はないようですけど」


 答えようとしたタイミングでお腹が鳴る。すると彼女は一瞬きょとんとするが、なるほどと言った。


「空腹で倒れていたのですね。では少し待っていて下さい」


 彼女は部屋から出る。

 しばらくすると彼女がパンと水を持ってきて、差し出してきた。


「どうぞ」

「ありがとう」


 パンと水を受け取り、お礼を言って食べる。

 食べ終えたのを見届けると彼女は質問を始めた。


「あなた、お名前はなんと言うのですか?」

「名前……分からない」

「なんと……では、倒れる前は何をしていたのですか?」

「誰かと話していた気がするけど……記憶が曖昧なんだよ」

「困りました。記憶喪失か記憶障害のようですね……」

「あのキミは?」

「私はサクラと言います。ちなみにここは、冒険者ギルドの医務室になります。さて率直に聞きますが、あなたが覚えていることは?」


 覚えていること?と言うと……いや、やっぱり思い出せない。


「その様子だと、何も思い出せないようですね。そうだ!ステータスを見れば……」

「ステータス?」

「あー……そうですよね。その辺りの話をしないといけませんよね」


 サクラの話によると以下のような話だった。


 ステータス

 アビリティやスキルの一覧。確認方法は鑑定して貰うか、冒険者となってプレートに情報を刻むか。自身が確認する分には、「ステータスオープン」と唱えれば、本人のみ確認できるらしい。


 アビリティ

 力、耐久、器用、敏捷、魔力の5項目があり熟練度によって成長していく。

 熟練度には分かりやすくランクがあり、S〉A〉B〉C〉D〉E〉Fの順となる。あくまで目安であり、経験によって変動するため過信してはいけないらしい。


 スキル

 専門的な技能。細かく存在するが、大まかに言うと武技、魔法、生産、耐性など。


 称号

 達成した偉業や二つ名、異名などが表示される。


 神器

 稀に生まれもって、その身に宿した道具の事。強力だか、発現条件は不明。一度発現すれば容易に使用できるが、真に使いこなすのにはコツが必要。神様からのギフトとも言われているそうだ。


 さてさて、それを踏まえて俺のステータスを確認してみよう。


「ステータスオープン」


 半透明な画面のようなものが目の前に出現した。そのタイミングでサクラから指示が出る。


「左上の方に名前が表示されてないですか?」

「えぇっと……」


 左上の方……何も表示がない?


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