悪意ある自殺
悪意ある自殺
休み時間、ノートに小説を書いていると、茜がにやにや笑いながら私に話しかけてきた。
「また、悪趣味な小説書いてるの?」
茜がノートを覗き込むと、私はすぐにノートを閉じた。そして、茜を睨みつけた。
「うるさいなぁ。別にいいじゃん。私の勝手でしょ」
「いつも思うんだけどさ、どういうメンタルでそんな陰惨な話書いてるの?」
「どういうメンタル?私も早く死にたいなぁって思いながら、書いてる。普通のメンタルの奴があんな話書くわけないじゃん」
「へー、そうなんだ。今度はどんな話書いてるの?」
「いじめられてた中学生の女の子が、給食時間中にいじめっ子の前でナイフで首を切って自殺する話」
「うわー、相変わらず救いがないね。これネットに投稿するんでしょ。読んだ人が真似でもしたらどうするの?」
「まさか、そんなことあるわけないでしょ。メンタルが不安定な時には読まないでくださいって注意書きしてあるし。それに、飛び降りたり、電車に飛び込んで自殺するのはよくあるけど、ナイフで首を切って自殺はさすがにないよ」
「いや、もしかしたら……あるかもしれないよ」
茜はそう言うと、怪しげに微笑んだ。
次の日、茜はナイフで首を切って自殺した。悲しくはなかった。それよりも、私の小説に対する当てつけかと思い、少しイライラした。でも、どうせ自殺するなら私の小説と同じように学校で自殺してくれたら良かったのに。そうすれば、私の小説の自殺の描写も少しはマシなものになったはずだ。
悪意ある自殺 @hanashiro_himeka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます