ヒトだけど違う
「前世の記憶、ですか……」
今日訪れた予約客は、群を抜いて不思議な人だった。
「できる限りで結構です。最近は毎晩夢に出るので、それならいっそ呼び戻せないかと思った次第なので」
話には聞いたことはあっても、自分から取り戻そうと思う人はそういない。
ウエイターはメニューを運び、客はそれらをゆっくり味わった。
「……どうです?」
ウエイターは恐る恐る伺った。
「わかりません」
だが、客はどこか満足気で来店時よりもいくらか笑顔がこぼれていた。
「きっと、今を大切にしてほしいという前世の願いだったのかもしれませんね」
しかし後日、その客は思い出した記憶を消してほしいと再来店した。
どうも知らないうちに前世の記憶があることで普段の生活に齟齬をきたし、困っているという。
ウエイターは不思議に思い、支障がなければ教えてほしいと尋ねたところ、妙に納得する答えが返ってきた。
「その…… どうも前世は異性だったらしく」
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