故郷より名誉
あるミュージシャンは聞いた。
「沢山の人の記憶を消したりはできるのか?」
「あくまで料理を召し上がった方だけです」
聞けば、ミュージシャンはそこそこ売れっ子らしいが、幼いときはそれはもうひどい素行だったという。
「今更、南の故郷に帰るのも恥ずかしくて、いっそ忘れてくれてたらな、って思って」
「それならよいメニューがございます」
後日ミュージシャンは故郷に帰り、地元最大のホールを貸し切ってのスーパーライブをやりきり、見事錦を飾ったのだが、実家に戻ってからはどうも腑に落ちない顔をしていた。
「なにかあったのかい?」
母親は尋ねるも、どこか上の空だ。
「なあ、母さん。俺の生まれ故郷ってどこだったっけ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます