黒い顔
「どうしても思い出せなくて」
女性はそう言って食事を口にする。
思い出したいのは、幼い頃知り合いだった男性の顔だ。
たくさん遊んでもらったりしたのに、思い出すのは真っ黒な顔だけ。まるで切り取ったかのように輪郭の内側が記憶からの抜けていた。
しかし、当店の料理にかかれば赤子の手をひねるようなもの。ひねったのはシェフ自身だが。
女性は思い出した記憶を頼りに会ってみようと思います、と店をあとにした。
「お昼のニュースです。先日O県の山間で発見された遺体はS県の女性であることがわかりました。遺体の頭部、特に顔に当たる部位が特殊な器具を用いてか大きく抉られており、身元の判明に時間を費やしましたが……」
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