続きが見たくて
「ご予約の斉藤様ですね」
壮年の男性が頷く。
「確か、『いつか見た夢を思い出したい』と」
「……ああ。その夢があったから今の俺があるんだ、が」
「わかりました。それでは」
「ちょっと待ってくれ」
ウエイターは、自分を引き止める客を見る。が、目を合わせないその客からは、何かに怯えているようにも見えた。
「実は、今更だが思い出すのが怖いんだ」
「と、言いますと?」
「その夢は、いわゆる予知夢と言うか、先を映したものだった。それを目標にやってきて、今まさにその夢を叶えた先にいる。……だが、夢を思い出して実は違う内容だったというのは困る」
数秒の沈黙。
「きっと大丈夫ですよ」
ウエイターは優しく微笑む。
「あり得ない未来を見せるほど、人の脳は都合よくできていませんから」
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