箱入り
ある家に子供が生まれた。
しかし男児を欲しがっていた家族は女児の誕生を喜ばず、すぐに箱に入れて里子に出した。
レストランに、夫の依頼で女児を生んだ妻には『ただの腹痛で入院した』と言い聞かせ、子供の出産を忘れさせるように、と依頼された。
あまりすすまない依頼だったが、最小の苦労で最大の幸せを得るためと、しぶしぶコックは了承した。
かくして数年後男児を授かったその家は、多少の傷を残したものの平和が訪れた。
男児は成長し、彼女ができた。
数年後結婚の話まで出たところで、両親は息子の彼女の両親がいつまでも顔を出さないことが気になった。
一番怖がっていたのは夫の方だ。
ある日、つい夫は嫁となる女性にその話をしてみた。
「はい、両親は健在ですよ。箱入りで育ててもらいました」
笑顔で返す彼女に、息子が一言。
「あれ? 挨拶に行ったときお父さんしかいなかったはずだけど……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます