アイデア

 あるゲームクリエイターがやってきた。

「長年ゲームを作ってきたけど、仕事を始めた頃の情熱がもうなくてね」

 新しく入ってきた新人のプランナーに仕事を奪われ始め、モノを作る熱意を忘れてしまったのだという。しかし、途中からは愚痴になり、あれよあれよと三時間以上も話し込んだ。

「私のクサクサする態度が他の社員の仕事に影響をおよぼすとも限らない。その辺をうまく忘れさせてほしいんだ」

 ウエイターは、そんな客に水を一杯提供した。

「話をしすぎて渇いたでしょう。まずは一口、飲んでください」

「はは。これは助かる」

 クリエイターは一口飲む。

 しかし、そこから口を話すことなく、ぐびぐびと水を飲み干した。

「うまい!」

 しかも直後立ち上がり、何も頼まず店を出てしまった。

「何があった?」

 別のウエイターが様子を聞きに来た。

「いえ、乾いていたご様子だったので潤いを」

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