家族団らん
ある一家がレストランを訪れた。
何でも父方の祖母が他界し、悲しみを埋めたいということらしい。
コックは腕を振るって料理をこしらえ、一家五人そろって笑顔で店を後にした。
しかし一年もたたないうちに一家は再び暗い面持ちでレストランを訪れた。今度は、末の息子が病気で亡くなったらしい。
またしても一家を襲う悲しみを癒すべく、コックはあの時と同じ料理を振る舞った。
さすがにこれだけ短い期間で訪れた不幸は完全に消し去ることができなかったのか、前回よりいくばくか晴れ切らぬ顔で一家はレストランを後にした。
半年後、今度は母親と上の息子が同じ病気で亡くなったらしい。立て続けに不幸が訪れる一家に、コックは心を痛めた。
一年後、父親だけが訪れた。
「まず消すべきは、味の方だった」
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