第2話

 何やら形のない世界で意識は覚醒する。

 ここは夢の中であろうか。


 

 目の前では見覚えのある親友が美少女に告白しているところであった。

 

 気づいたら俺はベランダから落ちていたが、そのまま目の前ではよく知っていてよく知らない世界が動き出す。


 『–––さん、大丈夫かなぁ......クソオタに誘われてたし、不安だな』

 

 そうして彼女は変わり果てたかつての友を見つける。


 血は既に乾きかけ、黒く変色した彼女の頭部の床が事件があったことを示している。

 

 『け、警察に通報しなきゃ......どれとも救急車......?』


 どうやら人の気配がしていた気がしたのだが、その正体は名前も知らぬ女生徒出会った。


 

 少しづつ色褪せ、ボケていき目の前の景色は消え去った。



 次に鮮明になったのは葬儀の時であろうか、ほとんどの人が喪服を着ている。


 当然、殺した挙句自殺した俺ではなく、人気者であった彼女のだろう。


 『なんで死んじゃったの......!?なんで教室に行ってしまったの!?』 

 『どうやらキモオタ1の方に殺されたらしいよね。ベランダから逃げようとして死んだんでしょ?』

 物言わぬ亡骸となった彼女に多くの人が同じ内容でせめ、あらぬ噂を広める。

 共通しているのは多くの人が泣き、悲しみ、殺したと思っている俺を憎んでいた。


 それに対比するように、全然人がいない自分の葬儀が映し出される。

 流石に今まで世話になった親には申し訳ないし、悲しんでいるだろうと思っていたが、違った。

 『やっと穀潰しが死んだ!』

 父も母も、可愛がってきた妹ですらみんな同じ反応をしていた。


 かなりショックを受けたがさらに上回ることが目の前では繰り広げられていた。

 

 ずっと親友だと信じていた幼馴染がこう吐き捨てたのだ。

 『やっと死んだ!鬱陶しかったのから解放される!最高だ!』と、ガッツポーズをしていた。

 自分で言うのもなんだが、誰に対しても優しくしようと心がけた。見た目が見た目だから嫌厭されるのはわかっていたからこそ人が嫌がることは率先してやったし、頑張って貯めたバイト代も家族にあげていたのにこの仕打ちか......

 



 

 何か事情があるのではと、信じて教室に向かったら殺され、罪をなすりつけられ、バイト代をあげていた妹にも、親にも喜ばれm全てがどうでも良くなった。


 ただ一つ言えるのが俺はあいつらを絶対に許さない。

 たとえ異世界にいようと、奴らを憎み続けるし、もう誰も信じない。




 一つの決意をする。






 次の人生では誰も信じない、と。

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