はるか

@Iruka2048

はるか

カーテンの隙間から光が差し込み目を覚ます。

今日も潰れた布団は、私の疲れを吸い取ってはくれなかったようだった。


痛む体を伸ばしながら窓を開くと、留めていないカーテンと長く伸ばした髪が風になびく。

大きく息を吸い込むだけで、夜に冷やされた空気が頭を澄ましていく。


今日も変わらず朝が来た。



煩わしくなびく髪を結びながら階段を降りていく。いつも思っている事だが、この家は階段が急すぎて少し怖い。


降りた先の洗面所で顔を洗い、そのまま歯を磨く。赤いブラシはお母さんの、青いブラシは私のものだ。

歯ブラシに少なくない量の歯磨き粉をつける。おかしいという人もいるかもしれないが、ミントの通り抜けるような爽やかな香りが私は好きなのだ。


ひととおり磨き終わったら、水を口に含み吐き出す。

吐き出した水には、少し血が混じっていた。



朝食にはヨーグルトと、少しの果物を食べる。柔らかなイチゴはそのまま食べ、硬いリンゴは切ってヨーグルトに入れる。砂糖はあまり入ってないから、スイーツといった感じはない。ただの朝食だ。


しかし繰り返し食べていると、味変を試したくなる。今日は思い切って七味を入れてみたが、すぐに失敗したなと確信した。仕方なく覚悟を決めて流し込んだが、とにかく痛かった。



朝のうちに皿を洗って、夕飯も作る。昨日は足りなかったみたいだから、お肉を多めに焼く。少し焦げたタレの匂いで、お腹が減った。




そうしていると、ちょうど学校に行く時間になる。少し憂鬱な気分だが、身嗜みを整えるために私はソファから立ち上がった。


おかしくない程度の長さの髪を梳かした後、私は自分の部屋に戻って着替えていなかった寝間着を着替える。

淡いピンクの抜け殻を1箇所に纏め、クローゼットから黒い制服を取り出した。

丈が長めの学ランに袖を通し、剥がれかけた頬のガーゼを貼り直す。長めの靴下でタバコの跡を隠し、痣が目立たないようマスクを付ければ完成だ。



靴箱から自分のスニーカーを取り出し、知らない誰かの靴を避けながら履く。


「いってきます」



いつもどおり、普通の朝だ。

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