第10話 俺の祖先が分かった
ーー ルーツとこれから
自宅に戻った俺は、祖先が残した膨大な日記や資料を読み漁った。
祖先の弾正様は、室町時代にここで異世界に出る不思議な隧道を掘り当てたようだ。
それから、長い時間を異世界で過ごしたが、不老のため身近な者の死を見続けて、寂しさに心を病んだようだ。
それから暫く、老衰の薬の研究に腐心しやっとの事で作り上げた薬を飲み干し、老衰死したようだ。
こちらの時間で江戸時代のこと。
それからすると、数千年生きていた計算になる。
俺もその可能性があるが、今度はご先祖の残したこの薬があるので気にはしていない。
俺もご先祖様と同じことで悩む可能性があるが、別の方法で克服してみてやる、俺はそう決意した。
この世界での俺の寿命は無いも同じなら、先ずはパートナーも同じように不老にすれば良いのかもしれない、または若返りの魔法を身につければ・・・。
ーー そうと分かれば、自重はないぜ!
レイン伯爵領内で、この世界では聞かない機械音が響き渡る。
徹底機に自分の領内を、現代日本の機械技術と文明で染め上げてやる。
そう決意した俺は、自重することなく開発を行い始めた。
それを見た妻達は、
「どうされたんですか?」
と不安な眼差し、そこで俺は
「俺のご先祖の情報を得てな、昔何処かの王様だったようなんだ。
その国が残っていたら探してみようかなと思ってな。」
と言うと皆、
「「「本当ですか!探しましょうよ。皆んなで!」」」
と賛同してくれた、本当幸せだな俺。
それから各国の情報を取り寄せ始めた。
教会にも古い情報があるようなので、ついでに探してもらった。
その際、
「ご先祖様のこの世界の名前は、」
と聞かれて。
「ダンジョウ=カゲヤマだよ。」
と答えると、その場の皆が
「ええ!カゲヤマ様!」
と驚き、俺に詰め寄ると
「あの、伝説の王、カゲヤマ大王様がご先祖様で!」
と驚かれ、さらに
「子供でも知っている、歴史上の大王様でこの大陸全てを統治しておられたと伝わっています。」
と教えてもらい、関係書物が山の様にあった。
ーー ご先祖様の伝説
【時代は、約5000年前。
あるところに、ダンジョウ=カゲヤマという青年が流れてきた。
青年は、ここでは無い室町幕府と言うところから迷い込んできたと言った。
青年は、剣の腕が非常に強く立ち合いで負けたことはなかった。
その頃は、まだ今の様に国が分かれておらず、漠然と幾つかの集落や一族が存在していた。
その頃の人々は、魔物の脅威に隠れて生き残るばかりで、力を持っていなかった。
ダンジョウ青年は、剣の腕も強かったがそれ以上に、魔法を使えていた。
魔法は、限られた者が限られた属性魔法を使えるだけで、ダンジョウ青年の様に、
ありとあらゆる魔法を駆使する者は誰一人としていなかった。
「俺はこの世界ではじめての、王になる」
と、ダンジョウ青年は宣言し、次第に勢力を伸ばして一つの王国を打ち立てた。
それを良しとしない付近の勢力が、戦いを挑んだが、
それらを全て倒して家臣としながらダンジョウ国王は、
さらに大きな王国へと変わっていった。
初めに国王となってから100年後、ダンジョウ国王は、
この大地全てを平定し、大王と呼ばれる様になった。
ダンジョウ大王は、その後数千年の間この地を治め、
永き平和を実現したのだった。】
というのがおおよその流れで、地方地方で伝説がある様だ。
この国の王国の家宝にダンジョウ大王の遺品が収められていると
言い伝えがあると、ミラージュが話してくれた。
しかし皆は、数千年も生きた大王と言うのが信じられないと言っていた、
その理由は、長命で知られるエルフでさえ2000年は生きられないのであるから、
およそ3000年以上生きていたと言う伝説自体が眉唾だと言っていた。
ーー9
ーー 3/18
ーー 王家の宝物庫でご先祖の遺品を見る
俺は王家に俺のご先祖である、ダンジョウ=カゲヤマの遺品を見せてほしいと
願い出た、すると承諾の連絡があり王都に赴いている。
王城に上がり、王に拝謁すると、王が一枚の紙を俺に見せ。
「これを読み上げてくれ」
と言いつけた。
俺は紙を手に取り、紙を見ると、
「この者、我が子孫に間違いなく、我が権能を全て移譲するものである、
ただし本人が望む時のみに。
影山 弾正 」
と書かれていたので、そのまま読み上げると、国王が
俺より下座に移動し、頭を下げると
「ダンジョウ大王様の御子孫にあって、唯一の後継者と認め、申し上げます。」
と言い出しさらに
「大王様の遺言で、
ワシの後継者が現れ、国王の位を望めば、与えよ。
その者、我と同じ力を有する者なり。
決して戦うなどと言う愚かなことは、することなかれ。
ゆめゆめ忘るることなかれ。
と書かれています。」
と言うので俺は、
「俺に王は向いてないので、結構です。」
と言いながら
「別にお願いがある、大王様の遺品を見せてほしい。」
と言うと、王は
「容易きこと、着いてこれらよ。」
と言いながら俺を宝物庫に案内し扉を開けると
「1番奥にあります、どうぞごゆるりと。」
と言ってその場を去った。
俺は宝物庫の奥に進むと、漆塗りの箱を見つけ手に取り中を見ると。
そこには、手紙と薬が一つ入ってあった。
手紙を読むとそこには、日本語で
「まだ見ぬ子孫へ
この手紙を読んでいるお前は、ワシの子孫になる。
江戸時代と言うと頃までワシは子孫を待っていたが、待ちきれなんだ。
お前にも同じ辛さを味合わせるつもりは無い。
ここに有る薬は、不老の薬で有る。
お前が必要と思うならば、使うが良い。
これと同じ物が残って居れば、10本有るはずじゃ。
おもしろき人生を送る事を心から祈る。
ダンジョン=カゲヤマより 」
と書かれていた。
多分、一人で生きることに疲れたご先祖様は、
同じ時間を生きるものを求めたのであろうが、
薬が完成した時に必要とするものは既にこの世に居なかったのだろう。
王家を辞して自宅に帰った俺は、妻たちを呼んだ。
「俺は、ご先祖様と同じ「不老」の呪いを受けている。
ご先祖様は、3000年以上の永きに渡り孤独と戦われた様だ。
遺言に「不老の薬」が置いてあった、また別のところに「老衰の薬」も置いてあるのを見つけた。
そこで君たちに問う。
俺と同じ呪いを背負い永遠を生きるのか、しれとも
人としての一生を生きるのか。
どれを選んでも、俺は構わない。
ただ一つだけ忠告しよう、ただの不老であれば死ぬこともできようが、
不老不死であれば、一人しか死ぬことができぬと。
ゆっくり考えてくれ。」
そう言い残すと俺は外に出た。
ーー 共に生きる者
実は俺は、「不老の薬」と「老衰の薬」の作り方を知っていた。
鑑定で素材と作り方を知り既にその素材を持っていたのだ。
暫くすると、妻達が現れ代表でミラージュがこう言った
「私たちは貴方の妻、妻がいつまでも若い姿で貴方の側に居られる事を
喜ばないはずがないでしょ。
早く私たちに貴方と同じ呪いを分けてください。」
と。
俺は良き妻を得たもんだ。
「みなの気持ちはわかった。感謝する。」
と頭を下げ
「薬はすぐに用意しよう。」
と答えその日は皆で一緒に楽しい食事を共にした。
ーー 「不老の薬」の回収の旅
その後、約束通り妻達に薬を渡すと皆一気に飲み干した。
それを見て俺は言った、
「俺はこれから、ご先祖が残した同じ薬を回収する旅に出ようと思う。
そこで、ミラージュとクリスティーナにお願いする、
この地で俺の領地を守っておいてくれ。
定期的には帰ってくるから心配するな。
そして、アイス、ダイアナ、ハートにお願いする、
俺と一緒に旅を共にし薬と過去を回収する旅に出よう。」
と言うと二人は大きく頷き。
三人は、涙しながら
「「「よろしくお願いします。」」」
と、声を揃えて答えてくれた。
それぞれの過去を回収しよう。
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