第4話 侯爵領スミスの街
ーー スミスの街の冒険者ギルドマスター side
今日このギルドを揺るがす事態が起きた。
「あの砂漠の先の森の魔物・・昔話の話でしか見たと言う話がない場所。そこからきたと言う若者が単独であの魔物を倒して、しかもおとぎ話の収納魔法を使えると言う。同行のゴンズに話を聞けばダイアウルフ20頭に襲われもうダメだと覚悟した時に、あの若者が突然現れて攻撃魔法でダイアウルフを倒すと怪我人を治療魔法で完治させたと言うではないか。」
しばし沈黙の後ギルマスは
「領主様に報告はしておこう」
と言いながら領主邸に先触を出した。
ーー 領主 クリス=モーリス=スミス侯爵 40歳 side
「これを読んだか?」
スミス侯爵はそばに控える男にギルマスからの手紙を見せて聞いた。
「はい、直ぐに確認の者を出しています。これまで分かったことは
・見たこともない魔道馬車に乗った一行が街に入ってきた
・若い男が一人でダイアウルフを撃退した
・若い男が攻撃魔法と高度な治療魔法を使った
・若い男が収納魔法を使える
・若い男は砂漠の先の森で魔物を狩ってきたと言う
と言うことで、最後以外は目撃者がおりますのでほぼ事実かと」
男の説明に侯爵は
「その話が本当なら一度会ってみようと思う。もし伝説の賢者様なら我が領の問題を解決してくださるかもしんからな。」
と言うと遠くを見ながら何かを考えていた。
ーー キッド商会 side
大口の商談をするために家族を連れて隣国まで足を伸ばした帰り私たちはダイアウルフの群れに襲われた。もうダメだと覚悟をしたその時どこからともなく現れた一人の若者があっという間に魔物を退け怪我人を治癒し見たこともない魔道馬車で街まで護衛してくれた。
出自を聞くも記憶がないと言われたが確かにこの世の常識がないと言うのも納得がいける話や振る舞いだった。
命の恩人に対し私はしばらく面倒を見ると申し上げ更には馬車の改良をお願いした。
職人に引き合わせて改良の進み具合を職人頭のゲンドウに確認すると
「旦那様、あの若者はどういう者でしょうか、余りにも飛び抜けた技術と知識を持っているようで付いていくのがやっとです。」
と言いながらゲンドウは新しい技術に目を輝かせていた。私の目は間違いなかったとその時は思いました。しかし彼は私の想像をはるかに超える技術と知識を持っており時々ポンとそれを見せるのです。
私が子供の頃よく読んでいた賢者様の物語以上の知識に私は彼こそ賢者様の生まれ変わりか姿を変えた賢者様ではないかと真剣に考えています。
ーー この世界で生きることはスローライフというのか文明が低いと言うのか
「風呂が良くない」
この世界で一番に思ったのは風呂が充実していないことが許せなかった。
ログハウスを出せば風呂に入ることは可能だがまだそれは出来ない、出来れば土地を購入してそこに置きたいそう考えている。
次に欲しいのは転移魔法だこれだけ文明が遅れているこの世界現代の技術は魔法の様な効果がある。ぜひあの森の手前まで一瞬で行ける転移魔法を習得したい。
今俺は収納魔法でかなりの量の現代商品を持ち込んでいる。キッド商会に卸せばかなりのお金を得ることができると確信しているそこでキッド氏に
「俺の持っている商品を買い取ってもらえもせんか」
と尋ねると何をと言わず
「是非に」
と答えるキッド氏。
取り出したのは
・塩
・白砂糖
・黒胡椒と白胡椒
・蒸留酒(焼酎)
・蒸留酒(ウイスキー)
・固形石鹸
・シャンプー
・リンス
・化粧水
・保湿クリーム
・シルク
・マヨネーズ
・ソース
の13品目。他にも色々あるが保存や食材を考えてこれらに決めた量はそれぞれ100kg又は100個(本)である。それぞれの説明をしながら効能や特徴を説明すると
「これらは物凄い価値がありますこれを私に・・・一つ確認をしても良いですか、これらは定期的に購入することができますか?」
当然の質問であるそこで俺は
「今は難しいと答えておきましょう。ただ遠くないうちに実現できると答えておきましょう」
と言うと
「その時も是非私に扱わせてください」
と言いながら
「全部で白金貨1枚と大金貨3枚でお願いします」
と差し出した、この世界のお金の価値は
・鉄貨 〜10円相当100枚で1銅貨
・銅貨 〜1000円相当10枚で1大銅貨
・大銅貨〜1万円相当10枚で1銀貨
・銀貨 〜10万円相当10枚で1大銀貨
・大銀貨〜100万円相当10枚で1金貨
・金貨 〜1000万円相当10枚で1大金貨
・大金貨〜1億円相当10枚で1白金貨
・白金貨〜10億円相当
なので13億円と言う金額、この世界の平均的市民の月収は1大銀貨ということで100年分の年収に値する、そこで
「お願いが一つ、家を建てる土地を探しています紹介してもらえませんか」
と言うと
「分かりました条件を教えてください」
と言われ
「そうですね、広めの庭が欲しいにで1000平方mくらいで建物はいらないので取り壊す様な物件の土地でも構いません。」
と言うと
「分かりました2・3日待ってください」
と言われた。
そしてその日の夕方領主様からの晩餐会の招待状が届いた、キッド氏と共にと言うのが救いだった。
ーー 領主 スミス侯爵との会合
馬車用のサスペンションのモデルが完成したそれを装備した馬車で領主邸に向かう俺とキッド氏、
「もうすぐ着きますが領主様は気さくで新しい物好きのお方です。何か珍しいモノを献上すれば問題なく興味を引くと思います」
とキッド氏が言うので、いくつかお土産用の商品を用意しておいた。
大きく立派な領主邸を見ながら俺は
「文明が歪だ、建築物と馬車や道路の舗装に上下水道などが合わない」
と呟く、この世界は魔法があるためか技術がおかしいのだ。
領主邸に着くと執事と思われる黒服の落ち着いた男性が出迎えて
「いらっしゃいませ、キッド殿、ハルト殿我が主人がお待ちですどうぞ中に」
と流れるような所作で案内しする、感心しながら邸内の品物を確認するとハンドメイドの品はとても上品で格式が感じられた
「流石は侯爵邸ですね」
と呟くと執事が
「お褒めに預かり恐縮です」
と答えた。
ホールに入ると侯爵家と思われる人達が持っていた、
「待ちかねていたよ、ハルト殿キッド殿」
と当主と思える精悍な顔の男性が手を差し出しながら俺を出迎えた。
「ご招待有難うございます。旅人の若造まで招いていただき感謝に耐えません」
と言う俺に
「この地に旅人が立ち寄ること事自体珍しい、私は珍しい話が好きでねどうか色々知らぬ事を話してくれまいか」
と言うので
「私の拙い話で良いのなら是非に」
と答えリビングに移動した、その際領主から
・妻セリーナ30歳
・長男カーター18歳
・長女クリスティーナ14歳
・次女メジーナ10歳
の紹介を受けた、リビングで挨拶を返しながら俺は家族それぞれにお土産を披露し手渡していった。
「スミス侯爵様これは多分私の祖国のお酒です。ブランデーというモノで酒精が非常に高くまろやかな味が特徴ですお納めください」
と手渡すとその飾り瓶を見ながら
「このガラスに入れ物はこれだけでひと財産になりそうなほどの物だありがたく頂くよ。」
と言いながら快く受け取ってくださった。
次に長男カーターにはカートリッジ式万年筆をインクカートリッジ100本と共に手渡し
「これも私の祖国のものだと思いますが羽ペンやガラスペンの更に上質なものと自負します、それとこの剣を」
と鍛造式の片手剣を渡した
「まるで宝石の様な筆だ、更にこの剣は家宝級ではないか。」
と喜んでくれた、続いて女性方を見ながら
「侯爵夫人にお嬢様方本日は女性用の品々をお持ちしました。今後キッド商会が少しではありますが売り出す予定の商品です。数に限りがあるため私の自由になるモノをお持ちしましたのでお使いいただければ幸いです」
と言いながら、石鹸やシャンプー、リンスに化粧水に保湿クリームを紹介して使い方をレクチャーするためにキッド商会の女性を2人ほど連れてきていた。
すると挨拶もそこそこに女性軍は奥に消えていった、
「すまないね、女性という生き物は美には非常に敏感なものだから」
と侯爵様が断ってきた。
「いいえ女性らしくて良いですよ。それより見違える様になった奥様やお嬢様に驚かれません様に」
と答えると
「そこまで変わることはあるまい」
と答えていた後が楽しみだ。
長男のカーターに忘れていましたと言いつつ、200枚入りのA4型の上白紙を手渡すと
「これほどの紙は見たことがない」
と喜んで万年筆と紙を持ち自室に消えた
「息子まですまない、我儘に育てたつもりはないのだが」
とこぼすがその侯爵に
「この度私とキッド商会で開発した馬車を持ってきました。乗り心地を体験していただき感想をお聞かせ長えれば幸いと思っております」
と言いながら裏庭に移動しておいた馬車に誘った
「なんだこの乗り心地はしかも音が静かで座席のクッションも良い」
と大いに喜び
「我が家の馬車にも導入しよう」
と言ってくれてキッド氏もニコニコ顔だった。
数時間後夕刻になりパーティーが始まると侯爵夫人ら女性陣が姿を表した。
「おお!」
と1番大きな声で反応したのが侯爵様で周りの家臣らも驚いていた。艶ハリのある髪に肌、透き通る様な白き肌は美人を数段上に引き上げていた。
「クリス様どうですか」
婦人が夫の反応を伺うと
「私が恋に落ちた頃の君と見間違えたよ、美しい」
と感想を答えると夫人はにこりと笑顔で答え俺に向かい
「是非この商品を取り寄せてくださいお願いしますよ」
と本気の目で言ってきたので後で1年分を置いておこうと思う俺だった。
侯爵は俺のお土産のブランデーが気になる様だったので、
「侯爵様これが差し上げたものと同じブランデーです。よろしければお飲みになりますか?」
と聞けば
「勿論」
と答えたのでクリスタル製のロックグラスを10個ほど取り出し、氷魔法で氷を出しロックでブランデーを差し出すと香りを嗅ぎながら口に含んで
「これは旨いがかなり強いな」
と気に入った様子だった。
すると二人のお嬢様方が
「ハルト様、珍しきデザートなるものをお持ちの様で是非私たちも味見をしたいと思います」
と多分商会の女性が話をしたのでしょう、
「分かりましたただ貴重なものなので数に限りがあります、ここだけということでお出ししましょう」
と言いつつ各種ショートケーキと有名なドーナツ及びチョコレートをそれぞれさらに盛り付け差し出すと二人とも目の色を変え受け取り
「お母様、頂きました」
と夫人の元に運んで一緒に食べ始めた。
その後砂漠の向こうの森の魔物の話になりさらに向こうの話をと聞かれたが、森のすぐそばで目覚めたためその先のことはわからないと答えておいた。
この辺りでワイバーンが現れるとかなりの被害が出る様で俺がワイバーンを単独で討伐している話になると騎士達も興奮して話に参加してきたが一人の騎士が
「本当に一人で討伐してのか疑問だそんなに強い様には見えぬ」
と酒の勢いもあって言い出したので
「これならどうですか」
と言いながらワイバーンを5体ほど取り出し、
「頭や心臓の場所を見せながらここに鉛玉を打ち込んで討伐しております。」
と答えると青くなって非礼を詫びたのは話の種になった。
ーー キッド商会長 side
侯爵様のお誘いを受けハルト殿と向かったがそこでもハルト殿の商才に驚かされた。
女性用のプレゼントに商会の女性職員を伴い現場ですぐに試せる様にしたのもだが、お酒を差し出した時に取り出したあのクリスタル製のグラスをは美術品と言える美しさで、それをただの添え物の様に魔法で氷を作り冷しながら飲むブランデーというお酒は一杯が金貨に相当するものと言えた。
さらに馬車のお披露目も素晴らしいかった。カーター様に差し上げたペンと紙も見たこともない品物だった、その人が欲しがるものを効果的に差し出すタイミングに事前準備などどれをとっても15歳とは思えなかった。
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