第11話 ラピスラズリをまとう

「じゃあ俺、勉強の続きしますんで、お師匠様はゆっくり休んでください。質問は後でまとめてします」


『あい、わかった。私はその辺に浮かんで寝るとするかな』


「おやすみなさーい」


 この状態で眠る意味は無いのだが、つい弟子に口うるさくして魔力を消耗することを防ぐといった意味では有効だ。


 あるはずもない瞼を閉じて、次に開いたとき、私は弟子の部屋にいた。


 目の前には夜色のローブをまとったウィリアムがいて、何やら忙しく準備をしている。


『なんだ、ウィリアム。その格好は』


「なにって、魔法使いの正装ですよぉ。大事な魔法を使うときはそうするって、お師匠様も言ってたでしょー」


 深い青と黒の狭間に染められた生地に、金の装飾が施されたラピスラズリのようなローブを着こなし、ウィリアムは床に複雑な魔方陣を描いている。


 その中心には、同じ生地でやや丈が短めのローブを着せつけられた、私の身体が鎮座していた。凍結状態は解かれ、目は眠るように閉じられている。


『まさかとは思うが』


「そのまさかですよ! じゃじゃーん、驚かないでくださいね。今から、俺がお師匠様を生き返らせてあげます!」


《つづく》

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