第12話 薄氷のリアクション

『はあ』


「……あ、やっぱり驚いてもいいですよ?」


『説明を求める』


「俺が言わなくたって知ってるくせに! お師匠様の書斎にあったんですよ。死者を生き返らせる魔法!」


 まるで秘密の宝を見つけた子供のような顔で、ウィリアムは説明した。


『そんなものはない』


「あります! お師匠様が寝てる間に、井戸で捕ったカエルで試しましたから。やることは複雑っぽいけど、落ち着いて順序立ててやれば楽勝だし、とにかく俺に任せてください」


 ウィリアムは得意気に云う。

 死んだカエルを生き返らせた?

 この子が? まさか……。


 私は首をふった。ふった、つもりであった。


 なにをするつもりなのだ。魔方陣を見るが、それはどうやら私が考案したものではないらしい。しかし、どこか見覚えがある。おそらく、ウィリアムが私の魔方陣をベースに、組み合わせたりアレンジを加えたりしたのだろう。


「あっ」


 ウィリアムが私の顔に肘をぶつけて薬草を落とした。慌てて腰を屈めて、微動だにしない私の頬を撫でる。


「ご、ごめんなさい。寝不足で……」


 ウィリアムが弱々しく笑って、薬草を拾う。

 嫌な予感がした。


《つづく》

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