第9話 フローズン師匠
この時から、ウィリアムの魔法を学ぶことに対する姿勢が大きく変わったように思える。
親の勝手な願望で魔法使いとなった彼は、決して勉強熱心な弟子とは言えなかった。しかし、ひとたび自分の目的を見つけると、この子はとても強かった。
まだまだ半人前だと思っていたのに、強力な冷却魔法を使って、椅子に座らせた私の体を凍らせた。
本より重いものが持てないなどとふざけたことを抜かすだけあって、翌日は筋肉痛でひいひい泣いておったが。
『ウィリアムよ、あれはどういうつもりだ? さっさと燃やしてくれたほうが安心するのだが』
「えへへ。お師匠様が見ていてくださると思うと、勉強にも身が入りますから♪」
だから目を開けたまま凍っているのか。
一段落ついたら閉じてくれるよう頼んでみよう。怖い。
『私はここで見ているが』
自分でもよくわからんが、住み慣れた家の中をずっと、ふよふよと浮かんでいる。
ヒマなので実体化を試してみたところ、ものすごく魔力を消耗するので使わないことにした。
「いいんですっ。お姿が見えないと、寂しいんですぅー」
『そうか。しかし、指定の日までには頼むぞ』
その日が、我ら師弟の別れの日となる。
《つづく》
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