第8話 最後の弟子
『わかったから泣くな。とにかく私の言うことは理解したな? 私の亡骸と魔法に関する資料を処分し、この家を出ろ。わかったな?』
この子はアホなので、再度要点を伝えておく。
紙に書いてやりたかったが、死者の魔力でこの世の物体は動かせないらしい。
「はい! でも、あの……」
『どうした』
「俺、もう少しだけここで学びたいです。俺は、あなたの最後の弟子だから……」
鼻を真っ赤にしたウィリアムが、膝の上で拳を握り、唇を引き結んだ。意志は固そうだ。
『好きにするがいい。私の書斎も自由に使え。この家にあるものは、すべてお前に譲る。魔法に関する資料も、焼く前に読んで構わん』
「あ、ありがとうございます!」
ウィリアムの顔がぱっと輝いた。
涙と鼻水がテカっただけかもしれんが。
「……俺、諦めたくないです」
《つづく》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます