第6話 死体遺棄

「なんでですかァ!? そんなことしたらもう、お師匠様に会えなくなっちゃうじゃないですか~!!」


 そこか。

 私はため息をつきたくなったが、体が無いのでつきかたがわからん。目の前の弟子の声も、どういった仕組みで聞こえているのやら。


『落ち着け、ウィリアム。どちらかが死んだ時点で、会えなくなるのが普通だよ』


「あっ、それもそうですね! 声が聞こえるのも御遺体の方からじゃないし~……」


 ウィリアムはまたキョロキョロしている。


 姿が見えないのでどこに向かって話せばよいのかわからないのであろう。


 私ほどの魔法使いともなれば姿を見せることも出来なくはないが、おそらく疲れるのでやめておく。


『そうそう。わかったら速やかに』


「死体をどこかに棄ててくればいいんですね!」


『おい、少しは言い方を考えないか!』


「どのみち、死体遺棄には変わりないですよぉ」


『バレなければいいのだ。よいか。今から3日後までにだ。暦に赤い印がついているだろう? その日は定例の活動報告のため、朝から国王陛下の使者が私を迎えに来る手はずになっておる』


「そういえばそんなこと言ってましたね! 3日後3日後……あ、もうカレンダーに書いてある!」


 ……。


『彼らが私の亡骸を見つけたら大変な騒ぎになるだろう。そして、まず疑われるのはお前だ。この国では、殺人は重罪なのだ』


「そんな……俺、殺人犯ですか?」


 ウィリアムの青い瞳が不安げに揺れた。


《つづく》

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