第2話 バカ弟子
「ひーん。お師匠様を殺してしまいましたぁ」
情けない声を出して私の亡骸を見下ろす青年の名は、ウィリアム。
ややこしいが、私と同名だ。
10年前のある日、息子に同じ名前をつけるほど私に憧れていた両親の望み通り、彼は私に弟子入りした。
そしてはからずしも、私の最後の弟子となった。
私は、このウィリアムに殺されたのだ。
「起きてください。生きてるんでしょ? ね、実は死んだふりですよねえ?」
私の両肩を掴んで、ガックンガックンと揺らす。
本当に生きていると思うなら、もっと力を加減するのではないか? と、思うような乱雑な扱いである。
私の体は壊れた人形のように、首があらゆる方向に曲がり、頭が揺れる。見ているだけで酔いそうだ。
ひとしきりそうしたあと、ウィリアムは泣き疲れたのか、私の脱け殻を床に投げ出した。
本当にポイッてした。
なあ、弟子よ。さすがにそれは無いのではないか?
《つづく》
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