第8話 白の休みの過ごし方

ーー 白の休み


色々あったが無事白の休みに入り僕は地元に帰ることにした。

するとクラスメートの4人も同じくケンドール公爵領に帰ると言うので、一緒に帰ることにしたが。マッケンジー君だけは自分の馬車であえると断ってきた。


僕は自分で改良した馬車を王都の屋敷に置いていたのでそれに乗って帰ることにした。

「エスト様、この馬車何かおかしいですよ。」

レリーナが言い出した。

「とても広いのです、外から見たらここまで大きくなかったのに。」

と言うとセリーナも

「走り出しても振動が少ないし音が静かすぎます。」

と言い出した。

僕は

「これは僕が改良した馬車で、空間拡張とサスペンションを改良してるのさ。」

と説明したが理解していないようだ。

「要するに広くて乗る心地がいいと言う意味ですね。」

とミリアが代表して答えた。

「まあそんなもんだよ。」

と答えておいた。


王都から馬車で3日の距離にケンドール公爵領が有り、予定通り公爵家についた僕ら。

3人に

「泊まっていく?」

と尋ねたら

「「「是非」」」

と言われたので、客間に案内した。



          ◇


公爵夫人。


息子が白の休みを利用して帰郷してきた。

クラスメートの少女3人も同じだが、まだ小娘すぎて警戒する気も起こらなかった。


愛しい息子は、学園で大活躍のようだ。

ただ本人はよく自分のことがわかっていないようで、特別なことをしたと思っていないのが残念だわ。


私は先日の王都のパーティーで、セガール王国で一番注目される女になった。

全てあの子のおかげ、料理もいくつか新しいレシピを作ったみたい。

今晩からシェフに作ってもらいましょう。




           ◇


ケンドール公爵。


学園の領地対抗で大活躍した息子が帰ってきた。

自慢の息子は先日の行軍訓練でもその能力を遺憾なく発揮したようだが、息子自体はその偉業に気づいていないようだ。


まだ7歳と思えぬほどの落ち着きと洞察力を持つ息子は、魔法や剣術に魔道具作成と多岐にわたって天才である。

きっとその理由があるのではとワシは思っている。


その理由は・・神のみぞ知る・・かな。



ーー 休暇の過ごし方



僕は基本休暇は自分の好きなことをして過ごす。

魔物を狩り、剣術の訓練をし、魔法を研究しそして読書をする。


「エスト様、休みに日に毎日こんなことをしていたんですか?」

とセリーナに聞かれ

「そうだよ。みんなは違うの?」

と聞き返してしまった。


先日山で鉱石の鉱脈を見つけ、そこそこの量を採掘してきた。

それを使ってアクセサリーを錬金術で作ろうと思う。


10個ほどのアクセサリーが完成した、我ながらいい出来だと思う。

お母様の部屋に向かい

「お母様、エストです。今よろしいですか?」

と尋ねると

「私も貴方の声が聞きたい頃でした、お茶にしましょう。あの子らにも声をかけましょう。」

と女子会みたいなお茶会が始まった。


「お母様、僕の作ったアクセサリーをプレゼントしたいのですが選んでもらえますか。」

と10個のアクセサリーをテーブルに広げて見せた。

「わー。すごく綺麗で素敵だわ。」

「本当、私もあんな素敵なアクセサリーをいただけるようになりたいわ。」

と興奮する少女たちを見ながらお母様は

「さすがエストね。これとこれと後これがいいわ。」

と3つのアクセサリーを選んだお母様。


お母様の目が残りを少女らにと物語っていたので。

「君たちも好きな物を一つ選んでいいよ。あげるから。」

と言うと喜んで選んでいた。


その後はこれに合うドレスや洋服はどんなものかしらと。

僕の洋服用のデザイン帳を見だした女性群に

「どこの世界も変わらないな」

と思った僕だった。


彼女らは5日ほど過ごした後自宅に戻っていったが、学園に戻る少し前にまた泊まりに来ると言っていたので2週間もすると戻ってくるのだろう。


お母様が休み明けに新年の挨拶がてら王都に滞在して、またパーティーに出席するので何か新しいものを作ってほしいと言われた。


ーー お酒造りと香水



僕は王都で酒も原料となる穀物を見つけて購入した。

休みの間にお酒を作れないかと考えている。


材料は、「コメ」「ムギ」「イモ」「ブドウ」の4種で、少しばかり地球のものと違うようだ。


・蒸したコメに麹菌をふりかけ温度管理しながら発酵を待つ、日本酒だ。

・麦を原料にエールを作る。

・芋とムギを蒸留して焼酎と蒸留酒を作る。

・葡萄の果汁でワインを作る。

エールとワインはこの世界でも飲まれている酒だ。

蒸留酒を作り、樽に入れて寝かせるウイスキーだ。



次にお母様の希望通り商品開発をする。

鏡とガラスやクリスタルの器類だ。

この世界の鏡は金属を磨いたもので、曇りがちなのだ。

透明で明るく姿を映す鏡は、きっと話題になるだろう。

お酒や化粧品を詰める入れ物にも飾り瓶だと映える。

先日作成したアクセサリー類もいいかもしれない。


女性用の小物入れの収納ポシェットも良いかもしれない、作って感想を聞こう。

化粧水にもう少し魔力と属性をつけてみるのも良いかもしれない。

浄化の魔力と回復の魔力さらには治療魔法の魔力。

そしたら更に若返りの効果のある物ができた。

これにはお母様が大喜びし

「これは私以外にはまだ出してはダメよ」

と約束させられた。


料理は王都で見つけた香辛料を使った物がメインで、カレーとハンバーグを再現してみた。


ここで香辛料の香りを嗅いで香水作りに目覚めた僕。

公爵家には温室があるのだ、香りや見た目が良い花や樹木を育てている。

僕は沢山の種類の花を摘みその香りを透明なスライムの体液に溶かすことに成功した。

香りは番号で表示することにした。

「ローズの5番」と言う感じだ。

さらにその際、浄化の魔法を流し込むと消臭剤に変化したのはオマケの成果だ。



「お母様幾つか次の王都での流行の品物を用意しました、吟味をお願いします。」

と言いながら

「香水」「ミスリルのアクセサリー」「新しいデザインの服」「魔法収納ポシェット」「カレー」「ハンバーグ」「効果の高い化粧品」

も7種類を見せた。


「今回は「香水」だけをメインにするわ。あとは私が広告塔として身に付けて密かに流行らせるわね。」

と言うことになったので、香水の量産を行った。


ーー ケイト公爵夫人 side


愛しい息子がまた私のために多くの流行の元を作ってくれました。

私としては、息子の愛は自分だけで満喫したいのですが・・・。


今回の息子の愛は私をさらに喜ばせる物がありました。

それは若返りの化粧水と香水です。

以前もとても良い化粧水を作ってくれたのですが今回のは、明らかに若返るのです。

3日ほど使ったところ、夫がよその令嬢と間違えるほど若返ったのです。

次回のパーティーが楽しみでしょうがありませんわ。

それと香水です、今までの香水といえば匂い消しの甘いだけの物だったのです。それを完璧な消臭剤と本当にお花畑の香りや、柑橘系の爽やかな香りなど多種多様な香りのするものを作ってくれたのです。


そう言えばあの子が作ってくれたにアクセサリー、とても素敵な物なのですがどうやら素材はミスリルと言う特別なもののようです。

私が身に付けた物だけでも手頃な屋敷が買える価値がするとか、ほんと私のためになら自重しないのですからオホホホホ。


あの子の為に私の力を広げておく必要があるわね。先ずは領地対抗戦で活躍した家に贈り物をいたしましょう。

もう少しアクセサリーとコスメを作るように息子に言わなければ。


ーー ケンドール公爵  side


エストがまたしても親孝行をしてくれた。

領内でミスリルの鉱脈を見つけてくれたのだ。

すでに半分ほどは掘り出したと見せてくれたが、その量は王国にあるミスリルを合わせたほどの量だ。

半分をわしに渡してくれたが、残りはアクセサリー用に使うと言っていた。

価値を知らずに使っていたようなので、正当な価格で売るように教えておいたが・・。

妻の胸元や髪にそのアクセサリーが光っていたが、若返った妻が更に美しく見えて心が躍ったのは内緒だ。


息子が錬金術も上達したようで、先ほどまで新しいお酒の製造道具を作っていた。

以前剣に属性魔法を付与したりしていたので、贈り物用として公爵家の印を刻印した魔剣の製作を頼んだら3日ほどで20本ほど作成してきた。

息子の将来のためにこれを使って地盤固めをしておこう。



ーー ミリア=センドー男爵令嬢 side


数日前にケンドール公爵邸を出て自宅に帰った私。

流石に公爵邸と比べるのはどうかと思うが、学園の寮と比べても見劣りのする我が家には改めてため息が出た。


先に帰っていたケントお兄様が迎えてくれたが、同じ思いをしたようだ。


夕食の際、お母様が私の胸元のアクセサリーに気付いて。

「そのアクセサリーはどうしたの?かなり効果な感じがするけど。」

と言われて

「公爵家のエスト様に頂いたの。」

と言いながら見せると、宝石などに詳しいお父様が

「これは・・ミスリルではないか!これだけでここより大きな屋敷が買えるぞ」

と驚いていたが、クラスメート3人がもらったと答えると。

「大事にしなさい、ただし盗まれたりしないように注意しなさい。」

と言われた。

『ええ!そんなに高い物なら普段使いできないよ。』と思ったのは内緒です。


でも自宅で一つだけ驚いたのは、あのトイレがうちにも据え付けられていたの。

「公爵様が寄り子の屋敷に無料でくださったのよ。」

とお母様が綺麗な小瓶に入った化粧水見せながら教えてくださいました。

お母様が若々しく見えたのはあのおかげね。



ーー クリスティーナ=カムイナ子爵家長女 side



私は領地対抗戦で優秀賞を頂いて自宅に帰ったら、両親が大変喜んでいて本当に良かったと思ったわ。

「王国の魔法省からお前の就職を打診してきたよ。お前は我が子爵家の誇りだ。」

とお父様が誉めると、

「クリスティーナのおかげで、私は公爵夫人から贈り物をいただいたわ。」

と先ほど届いた箱を開けると、綺麗な飾り瓶に入ったコスメ類が2人分。

それにとても素敵な上がり二つ入っていた。

同封に手紙に公爵夫人の字で

「クリスティーナ嬢の活躍を記念して息子エストニアの作った製品を贈ります。王都でのパーティーなどで母娘でお使い頂ければ幸いです。」

と書かれていた。


「この化粧水は・・公爵夫人が使われていた物。それにこのアクセサリーは多分ミスリル・・。クリスティーナ貴方は我が家に富と栄誉をもたらしたわ、学園に戻る際は私の同行します。

王都のパーティーに出なければいけないわ、貴方ドレスを新調しますわよ。」

とお母様がお父様に言うとどこかに連絡をし始めました。



ーー  ダニエル=クロエ男爵家三男  side


俺は休みに入り訓練などで少し遅めにクロエ男爵家に帰ると家族から熱烈な歓迎を受けた。

夕食は一族が揃っての豪華な食事だった。

その席で父上が

「この度の領地対抗戦で我が息子ダニエルが、非常に素晴らしい成績を上げて領地内のわしの立場も鰻登りじゃ。しかも公爵から内々にではあるがダニエルが成人の暁には騎士爵を賜ることが決まった。」

そして公爵家からの贈り物だと言いながら二つの箱を披露した。

一つは剣が2本、もう一つは女性用の化粧品が入っていて母上宛のようだ。

同封の手紙に

「この剣は息子エストニアが制作した魔剣である。こ剣を持って我が息子の力となって欲しい。」

とクロエ男爵家と私個人に下されたようだ。

手に取るとわかるその凄さが、これは本当に魔剣だ。


その日の夕食会はクロエ男爵家の歴史に残るものとなった、その後母上が若返ったように綺麗になったのは魔法なのか?


私は卒業後は公爵家の騎士団に入ることを決めた。

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