第6話 領地対抗戦
ーー 対抗戦3
大会当日。
開会式が行われた後、初等科の選手が会場に入る。
「これより初等科の競技を始めます。」
と言う声と共に掲示板に問題が張り出される。
3桁の掛け算割り算が10問ずつ。
それと別の開示版には、こきごの問題として古典の文章が表示される。
「それぞれ出来た者から提出してください。」
と係員が選手に伝える。
アナウンスが流れる
〜初等科では基礎の勉強をおこなっております。今回の問題は何も文官の採用試験の問題程度のレベルです。一つでもできればいいと言うレベルなので暫くご子息らの奮闘をご観覧ください。〜
と流れたが、僕はその時点で解答用紙に全ての回答を書き終えていた。
「はい。終わりました。」
と手を上げる僕に注目が集まる。
60分後に競技終了。
〜只今の競技の結果を発表します。
第一位、黄の1年エストニア君。点数は300点満点です。
第二位、赤の3年ストーン君。点数は30、20、40点の90点です。
第3位、白の3年クリーシャさん。点数は30、30、20点の80点です。
第4位、青の3年リーシャさん。点数は20、10、20点の60点です。
参考まで、採用試験では150点以上が採用レベルです。〜
◇
「これより中等科の競技を始めます。」
会場を二つに分けて魔法と剣術の技術競技が始まった。
「優勝候補赤のコート君が岩を見事の叩き割りました。」
周囲から拍手が巻き起こる。
次に挑戦するのは、黄のダニエル。
精神を統一して剣に赤い炎の属性が見て取れる、風のように素早い剣の振り下ろしで岩が綺麗に切り裂かれている。
「おおっと。これは凄い!岩を粘土のように切り裂いた選手がいました・・・黄のダニエル選手です。これは優勝候補に飛び出したか。」
と言う解説者の声に周囲の観客からも拍手が起こる。
競技は進み鋼鉄切断に挑戦中だ。
今までの結果は、岩を斬った者は赤と黄の2人だ。
〜 赤のコート選手が挑戦します。〜
「ガーン!」
激しい音がして折れた剣を握ったままのコート選手が悔しがっています。
〜 続いて黄のダニエル選手です。〜
精神をし集中していたダニエルが、「シュッ」と剣を振り抜いた。
〜これは失敗か!〜
とアナウンスが流れたその後に、「カラン」と言う音と共に金属板が真っ二つに切れて落ちた。
〜 これは凄いです。今まで完全切断は、現在の騎士団長以来2人目です。
会場のみなさん拍手を〜
◇
会場変わって魔法技術の部。
〜 優勝候補は赤のエリザベス嬢、昨年の優勝者です。
エリザベス選手が次々に高度な魔法技術を見せていきます。
採点は、攻撃80、防御70、多重魔法70、詠唱魔法70の合計290点でトップに立ちました。
次点は黄のクリスティーナ選手です。
最後の競技詠唱魔法に臨みますがこれで90点以上が出なければ、優勝はエリザベス選手となります。 〜
クリスティーナ嬢が競技を開始した。
突然魔法が発現した様子に、審査員や注目していた観覧者はざわめきます。
「今のは無詠唱なのか?」
と言う声だけが響く。
〜結果が出ました。最終競技で100点を出したクリスティーナ選手が合計300点で優勝です。盛大な拍手を。 〜
◇
〜 競技の中間成績を発表します。
現在の順位は、第一位 黄。第二位 赤。第三位 白。第四位 青。
です。
最後の競技総合大会での大逆転もあり得ます。競技は昼食を挟んだ後です。
それでは午後の競技でお会いしましょう。 〜
「やったぞ!今トップだ。今年は優勝出来るぞ。」
とミカエル先輩が興奮しています。
他の選手や応援の者も皆興奮しているようです。
僕の所にクリスティーナ嬢とダニエル先輩が来ました。
「お二人とも第一位おめでとうございます。」
と僕が言うと、2人は僕に対し貴族最大級の挨拶をした後
「私(僕)は、今回の競技で自分の限界を越えることができました。卒業後のスカウトも来ているようです、本当にありがとう(ございました)」
と挨拶してくれた。
美味しい昼食も領地対抗の採点になっている。
それぞれの待機場所にテントを貼り簡易の食堂をそれぞれが出してその評価を競うのだ。
当然黄は僕の専属が調理を担当している。
お母様のパーティーの噂を聞いていた、貴族たちは我先にと黄の会場に来て食事を注文している。
「こりゃー。完全優勝かな。」
とクラスメートのマッケンジー君が呟く。
◇
午後の部開始。
〜 只今から午後の部を開始します。
先ずは剣術の部からです。選手は中央会場に集まってください。 〜
「エスト様が出てきましたよ、大丈夫ですかね?」
とクラスメートのミリアが兄の代わりのエストの心配をしている。
「先ず問題ないと思うよ。本人は実感がないようだけどあの子は強すぎるもの。」
と青い顔をしたケントが答えた。
〜 第一試合は赤と白、第二試合は黄と青の予定です。 〜
〜 第一会場で行われる第位一試合の見どころ。
赤の選手は卒業後には王都騎士隊に入隊が決まっているジャバロー選手。
大きな盾と大剣を操る大柄の選手です。
白の選手は速さがモットーのテンガン選手です。
剛とスピードどちらに軍配が代えるのか。 〜
〜 試合が始りました。
試合開始直後から白の選手が素早い攻撃を繰り返しているのを、赤の選手が大楯で防いでいる状況です。 〜
〜 おっと!赤の選手が大きく大楯で白の選手を弾きました。
距離をとって睨み合う2人。
赤の選手が動き始ました、白の選手がその突撃を交わそうとしますが・・盾が当たようです。姿勢を崩した白の選手に赤の選手の大剣が襲います。〜
〜 試合の決着がついたようです。
赤ジャバロー選手の勝ちのようです。 〜
◇
〜 第二会場では第二試合が行われています。
青の選手は双剣の剣士ロジャー選手です。
それに対する黄の選手は、控えの初等科1年のエストニア選手です。
大人と子供ほどの体格差がありますが、勝負になるのでしょうか。〜
〜 試合が始りまりました。
青の双剣の剣士が激しい攻撃を繰り出しています、もう決着か!
いや、まだだ。黄の選手が全ての剣戟を交わしておます、素晴らしい剣裁きです。 〜
〜 試合が動き始ました。
黄の選手の剣が青の選手の双剣を弾き始ました、押され始た青の選手が間合いを取って仕切り直しを試みますが。
黄の選手がそれを許さぬ素早い動きで、相手選手の動きを制しています。
ああっと。双剣が弾き飛ばされまし当た、青の選手が両手を上げています。
勝者は黄のエストニア選手です。〜
◇
〜 第三試合は白と青の選手による3位決定戦です。
選手が会場に姿を現しました。〜
〜 試合が始りました、お互い動きの速いスピード選手です。
どちらがより早いか見ものです。
白のテンガン選手早くも必殺技の高速アタックのようです。
堪え切れるか青のロジャー選手。
持ち堪えたようです。〜
〜 長い牽制の後。
飛び出したのは青のロジャー選手です。
双剣が蛇のように白のテンガン選手を襲います。
疲れが見えるかテンガン選手、交わし切れなくなった。
ここで勝負が決まりました。
青のロジャー選手が勝利です。〜
◇
〜 第四試合は決勝戦です。
優勝候補の赤のジャバロー選手が入場してきました。
反対コーナーからまだ幼さの残る黄のエストニア選手登場です。
結果が分かりきったような試合ですが、全力を尽くしてほしいものです。〜
〜 試合が始まりました。
赤のジャバロー選手がゆっくりと間合いを詰めていきます。
黄のエストニア選手はそれを待っているのでしょうか、それとも動けないのでしょうか。
赤のジャバロー選手が大きく大剣を振り上げて、エストニア選手の頭上に落としました。
決まったか!・・・いや。細剣で大剣を止めています。
力を入れるジャバロー選手、堪えるエストニア選手力比べです。
ええ!ジャバロー選手が押されています。信じられません、あんな小さな体にどれほどの力があるのでしょうか?
弾かれたジャバロー選手が大きく間合いを取り、突進を敢行しました。
受けるエストニア選手。
「ドーン」
大きな音が響きました、つ込んだジャバロー選手が吹き飛んでいます。
エストニア選手が細剣を叩きつけます、それを大楯で避けるジャバロー選手ですが・・・大楯が真っ二つに斬られました。
ジャバロー選手が両手を上げています。
勝者は信じられませんが、初等科1年のエストニア選手です。〜
◇
結果発表が行われ、優勝は黄のケンドール寮です。
2位は赤。3位は白。4位は青。
と言う結果になりましたが、今回のMVPはもちろん
黄のエストニア選手が選ばれました。
〜 優勝は黄。代表者は前に出て優勝旗をもらってください。〜
ミカエル寮長が誇らしげに優勝旗を受け取り戻ってきました。
〜優秀者発表。
魔法技術の部で中等科3年クリスティーナ選手が選ばれました。
剣術の部では中等科3年ダニエル選手です。
最優秀賞はもちろん、黄のエストニア選手です。
大きな拍手を持って讃えてください。 〜
ーー 領地対抗戦祝勝会
寮の大広間において立食の祝勝会が行われた。
「本当に喜ばしい。数年来2位に甘んじていた我がケンドール公爵領が優勝をしかも完全優勝だ。」
ご機嫌なお父様が少々赤い顔でそう言うと、「皆の栄光に乾杯」と乾杯の音頭でパーティーが始まった。
優秀者にお父様から恩賞が渡されています。
嬉しそうな先輩たちの笑顔がいいな。
そお感想を思っていたら突然。
「エストニアここに来なさい。」
とお父様に呼ばれた。
「対抗戦の活躍、父としてまた領主として誇らしかったぞ。よくやった。」
と改めて褒めてもらいました。
ーー 学園長コザック side
年に一度の領地対抗戦が行われた。
今年の目玉は、王と騎士団入隊が決まっている赤のジャバロー選手と5連覇中の赤の連勝記録だった。
さらに魔法技術の部でエリザベス嬢が二連覇するかが目玉だったのに。
蓋を開けると黄の独走状態。
特に初等科1年のエストニアの活躍が目覚ましく、あの年でこれほどまでの生徒を今まで見たことがなかった。
しかも聞いた情報では、優秀者を指導したのも彼だと言う。
セガール王国有史以来の傑物になるかもしれないとその時私は思った。
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