夢日記

黄昏(たそがれ)

同級生の男子に告白された妹 2022/06/18


一人、可愛い妹がいた。

たまに喧嘩し、そして仲直り、頼り頼られ、自分たちは傍から見ても仲良しの兄妹でした。


ある日、なんの集会か分からないが、妹、妹の同級生数人、自分、自分の友達数人、お父さんが一緒に集まっている。


「前から、ずっと好きでした!俺と、付き合ってくれ」


可愛い妹は、同級生の男子に告白された。


「え、えぇ~!!??」


突然の告白に妹もかなりびっくりした様子。


周りに見てた妹の他の同級生たちはキャーキャーと、ついに告ったーとかで騒いだ。


後ろでそんな光景を目のあたりにした自分は、立ったまま見守ることしかできず、結構衝撃を受けた。


放課後もよく一緒に遊んでいるグループの中で、あの同級生の男子は、妹と特に距離が近いのは知っている。


「ええ…えっとぉ…」


妹は告白されたことに、戸惑っているようだ。

視線を右往左往しているうちに、こちらと目とあった。

あっと声を漏らし、体が反応ついて来れたのか、目の前に走ってきた。


「お、お兄ちゃんどうしよ!××君に告白された!」


自分の知る限りの話だが、妹が告白されたのは恐らくこれが初めてだ、少なくとも目の前で見たのはこれが初めて。経験したことのない恋心に戸惑っているのか、どう接すればいいのか分からないようだ。

ならばここは兄として、妹のためにちゃんと言い聞かせなくては。


「落ち着け、そんなおかしなことじゃあないだろ?」


妹の頭を撫で、優しく言葉を掛けた。


「お前のような可愛い女の子は、男からは目が離せない存在だ、こんな風に好かれることも多いだろう」


「お、お兄ちゃん…」


「大丈夫、自分の心を正直に、その気持ちを相手に伝えればいいんだ」


急に直接すぎた好意を、どう受け止めるのかまだ分からないだけで、嫌じゃないはずだろ?


「うん、わかった」


ようやく落ち着いたのか、いつもの可愛い笑顔を見せてくれた。


たたたっと、××君の所に走って行った。

あぁ…ついにこの日がやって来たのか、

離れてゆく妹の背中を見て、心の中からそのような声が聞こえる。

可愛いくてよく甘えてくる妹も、年相応に恋するようになったか。

妹の成長に嬉しく思う同時に、妹と離れてゆくような、なんだか切ない気持ちがちょっとずつ染みて来た。

妹はこれからこんな風に、様々な事を遭遇し、経験して、人生を彩るだろう。

妄想なのか、幻覚なのか、走っていく妹の背中の周りに、ウェディングドレス姿の妹や、新たな家庭を築いた妹の映像がちらつく。

って、いくらなんでも先走りすぎだろ!

自分の妄想にツッコミを入れる。


「××君!」


「は、はい!」


すうと息を大きく吸い、周りの妹の同級生、自分、自分の友達、あとお父さん(お父さん!?)も、つられて息を吸う。


緊張の瞬間。


誰もが妹の次の言葉を息を止めて待っている。

自分も、汗を流しながら、その次の瞬間を待っている。



「ごめんなさい!」


「…えっ?」


拒絶の言葉にたじろぐ××君。


「××君のことは、嫌いってわけじゃないだよ?でもずっと友達だって思ってて」


他の妹の同級生たちも、信じられないものを見たように目を見開いてる。

妹の言葉は続く。


「それに、わたしはもう、好きな人がいるの。だから付き合ってあげることもできない、ごめんなさい」


そう言って、頭を少し下げる。

妹の同級生、いや、自分もその言葉にえらく驚いた。

え?妹の好きな人って…誰?いつも仲良く遊んでいるその同級生たちの中で、一番距離が近い××君でもなければ、他に一体誰がいるって言うんだよ。

ずっと傍にいる妹が、何時の間にか既に恋心を知っており、さらにそれは知らない誰かに向ける物という事に、再びショックを受ける。


「だ、誰だ?」


膝がカクカクと笑う××君は、強がってるように、強めな口調で妹に聞く。


「好きな人って、誰だよ!」


うん、本当に誰だよ。

自分だけでなく、この場にいる人間全員はその疑問に浮かんでいる。


「それは……」


ごくりと、誰かの唾を飲み込む音を聞こえる。自分の声かもしれない、それくらい全員が緊張している。

そんな中、妹は軽快なステップを踏み、自分の隣にやって来た。

腕を抱き着き、ヒマワリのような輝かしい笑顔で爆弾を投下した。


「わたしのお兄ちゃん!」


「「え?」」


妹以外の全員の声がハモった。


「わたしの好きな人は、お兄ちゃん!」


「好きって、お前…」


急な爆弾発言で固まる自分は、妹から向けてくる笑顔に狼狽えた。


「ずっと昔からお兄ちゃんの事が好きだったよ?やっぱり気付いてなかったの?」


「好きってそれは…家族で…」


「うん、お兄ちゃんの事は好きよ、でもそれだけじゃないの。お兄ちゃんに、恋してるの、ずっと前からね。だからお兄ちゃんの言う通りに、自分の心を正直に、好きな気持ちを、お兄ちゃんに伝えたよ?」


パタンと倒れる音が、二つ。

告白して玉砕した××君と、後ろで一部始終を見たお父さん。


「おにいちゃ~ん」


甘える声で体を預けてくる妹と近づいてくる唇をなんとか抱え止め、友人や妹の同級生の視線を受けて、混乱する。

なんだっこれは!?

ずっと甘えてくれる可愛い妹は、実は恋の意味で自分の事を好きだったという!?


なんなんだよこの夢のような展開は!!?




――――――――――――――――――

夢だった。まる。




夢の中でこんな展開かよ!

シスコンなのかよ!

頭おかしいだろこいつは!(作者)



*補足


夢の中の妹は割と小柄で、中学生か高校生かは分からない。

夢の中の自分は社会人で、妹と年はちょっと離れてる。


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夢日記 黄昏(たそがれ) @dusk1942

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