第十六章 ~ インビテーション? ~
雄紀が戻ると、おじさんと、ヴィッディーが、雄紀の部屋で待っていた。
「今日は、特別な相談があるんだ。 」
おじさんは、にっこり微笑みながら雄紀の瞳に告げた。
雄紀は、おじさんの目から視線をずらして、ヴィッディーを見た。
ヴィッディーは、雄紀の視線がヴィッディーに移ったことに戸惑ったかの様に、少し間をおいてほほ笑んだ。
おじさんは、雄紀とヴィッディーの手の平に、チャンダナンを一つまみずつ置いた、そして、自分の手の平にも同じように、一つまみ置いた。
おじさんと、ヴィッディーはチャンダナンが乗った手の平を舐めた。
雄紀も同じように舐めた。
「魔除けだ。 」
おじさんは、再び雄紀の瞳の奥を覗きながら言った。
おじさんは、雄紀を通り過ぎざまに肩をポンと跳ねるように叩いて、付いて来るように手招きをした。
少し不安になりながら、おじさんの後を付いて行く雄紀の後を、少し緊張気味なヴィッディーが歩いた。
おじさんは、家を出て、家の周りを回った。
「あ! あの、入り口だ! 」
毒で眠らされる直前に見た、竜巻の避難場所の入り口の様な場所で止まった。
「君は、これが何の入り口だか知っているかい? 」
おじさんからの質問に、雄紀は不安と好奇心が入り混じった。
「ここは、何ですか? 」
「まだ、聞いていなかったかい? 」
おじさんは、そう答えながら、ポケットの中から鍵を出した。
そのカギを、戸のカギに射して、回した。
軽く音がして、戸が開いた。
おじさんは、入るように手招きをした。
雄紀は、開かずの間にでも入って行くような、少し罪悪感にも似た、好奇心でいっぱいになった。
そして、同時に不安も感じていた。
雄紀は、戸の開かれた、地下への入り口に立ち、真っすぐ奥を覗いた。
手前から、底へ続いている階段が見えた。
奥の先は、かろうじて見えるくらいの明るさだった。
底は、真っ暗で見えない・・。
雄紀は、階段を上って、戸の中の階段を降りて行った。
底は、上から見る程、暗くはない。
底に着くと、少し先が壁になっていた。
「金属? 何だろう?? 」
雄紀が、壁を触っていると、後ろから、ヴィッディーが降りて来た。
その後ろで、おじさんは戸に内側から鍵を閉めて、かかったのを確認してから降りて来た。
雄紀は、更なる不安が胸の中を充満した。
「ここは、どこですか? 」
おじさんが、再びニッコリとほほ笑んだ。
「・・・。」
おじさんは、無言のまま、雄紀の真ん前にある、壁に、まるで絵を描くようにリズムよく叩いた。
すると、ピーと、音がして、壁に細い筋状のピンク色の光が上下に伸びて、丁度人の大きさの長四角の形を描いた。
カチャ。
音がして、長四角の部分が奥にズレて、左側が、180度 奥に回った。
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