第五章 ~ パンケーキと黄色いブルーベーリー・ジャム ~

コケー!


『何だ、何だ!?』


耳元の、鶏の雄叫びに、雄紀は飛び起きた。


「おはよう。もう起きたのかい?早いね。」


「だって、鶏が・・・」


「あら、結構、男前な声じゃないか。家の、目覚ましかい。その子は、朝になると所かまわず叫ぶんだよ。しばらく叫ぶと飛び回るんだけど。」


「飛ぶ?」


この世界の鶏は、飛ぶことが出来るようだった。

と、思った矢先に、その『目覚まし』は、大きな納屋の中を羽ばたき始めた。


「お腹は空いたかい? 朝ごはん、パンケーキだけど食べるかい?」


そう言いながら、おばさんは片手で飛び回る目覚ましをわきに抱えて、その部屋を出て行った。


ブルーベリーの様な味のする黄色い甘い液体のかかった、所謂いわゆるパンケーキだ。


雄紀にパンケーキと、紅茶を持って来てくれると、おばさんは仕事に出かけた。

出かける時に、


「その顔色じゃ、まだ一日寝てた方がいいよ。外に出ても良いけど、夕暮れまでには納屋に戻っているんだよ。じゃないと、連れてかれるからね。」


と、言い残して出て行った。


『どういう事だ?僕は光らないから?・・・もしかして、昨日の丸い石のことをおばさん何か知っているんじゃ・・・。』


パンケーキと紅茶でお腹が一杯になって、雄紀は再び眠気を感じた。

そして、崩れ落ちる様に眠ってしまった。


ふと気が付くと、おばさんが戻って来ていた。

どれだけ眠っていたのだろう。


「良く眠ってたね。よっぽどのことがあったのかい?何だったら、気の済むまでここに居な。そう言えば、何て名前なんだい?」


「・・・。」


雄紀は、自分の名前を教えるか迷った。


「まあいいや。じゃ、ソーハムって呼ぶね。いい名前だろ。私、センスはあるんだ。」


「おばさんは?」


「おばさんは、おばさんで良いよ。。」


雄紀は、思い切って聞いてみた。


「どうして、おばさんは光るの?」


おばさんは、少し嫌悪感を持った様な笑顔をして、驚いたような表情になった。


「本当に、聞いているのかい?・・知らないのかい?」


雄紀の真剣な眼差しを見て、おばさんは話し始めた。

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