第26話 「精霊王の復活」
魔術師ギルドから招集が掛かった。
俺だけではない。
エルフの里からはレイアがドワーフからはメイルが神官はあのジェナが出席している。
それを仕切るのは俺・・・ではなく魔術師ギルドの長、オルファン最高導師だ。
ただ現場のリーダーは俺に任せてくれるらしい。
ダークエルフ達に四大元素の精霊を操るマジックアイテムを全て奪われてしまったのだ。
しかしこちらにはまだ精霊王の剣がある。
白竜ラーゼスが守ってくれているはずだ。
俺はオルファンの指示でレイア、メイル、ジェナ、そしてエデンをチームに加えると、精霊王の剣が眠るあの遺跡に向かった。
―
遺跡に入ってからの道中からラーゼスの所に着くまでダークエルフの死体がそこら中に転がっている。
まだ真新しい所からして来たのはつい最近だろう。
強力なドラゴンが守ってくれてるのになぜか不安に駆られた俺は急いでラーゼスの元へ向かった。
―
所変わってラーゼスのいる宝物庫の間にダークエルフ達が対峙している。
もちろんあの髭のダークエルフもいる。
「ダークエルフよ、争いはこのまヌ。ここからたちさレ」
「そうはいかんのよ。ほうれ!」
「そ、それハ!」
「ほほほ、あらゆる竜族を従える竜王の杖、持ってきて正解だったわい!」
髭のダークエルフが杖をかざすと白竜ラーゼスは頭を下げた。
「ぐひひ、じゃあ精霊王の剣寄越してもらおうかのう」
「ちょっとまったああああ!」
宝物庫の間を蹴破り入る俺達。
俺達は間一髪でダークエルフの陰謀を阻止した・・・訳ではなかった。
「毎度毎度邪魔しおってからに・・・ラーゼスや、こやつらを焼き殺せ!」
「くっ・・・心得タ・・・」
竜王の杖の効果で自身の意思に抗いながらも俺達に攻撃を仕掛けてくるラーゼス。
「エデン、頼んだぞ!殺すなよ!」
「難しい注文だが・・・やってみよう」
「レイアとメイルとジェナは俺と一緒にダークエルフ退治だ!」
「了解!」
―
髭のダークエルフが剣に近づく前に止めなければ!
しかし俺達の前にダークエルフの暗殺者と魔術師が立ち塞がる。
「ここは妾達に任せて早く先へ!」
「あなた達にイグニスのご加護を!」
メイルとジェナが雑魚を引き受けてくれてる間に俺とレイアは先に進む。
「ええい、来るなと言っておろうに!」
髭のダークエルフは暴走した精霊達を解き放つ。
すると俺の前にレイアが割って入った。
「こいつ等は私が相手するわ!あなたは先を急ぎなさい!」
「死ぬなよ・・・レイア」
「勿論!」
レイアが暴走した精霊達を引き受けてくれてる内に俺は先へと向かう。
髭のダークエルフにはもう手駒はいないはず。
こいつだけなら俺だけでも!
「でやああああああああああ!!!」
「ひぃっ!?ラーゼスよ、わしを守れい!」
「くっ!嘘だろ・・・」
俺の目の前に飛んできたラーゼスは俺に向かって火炎を放った。
指輪でエデンを呼ぼうとするがもう間に合わない。
しかしその炎を遮る様にエデンが割って入った。
「大丈夫か、ご主人様!」
「あ、ああ・・・でもお前何で」
エデンにとって俺が死んでくれた方がありがたい筈だ。
何せメイドの封印が完全に解けるのだから。
「貴様を殺すのは私と言った筈だ、ご主人様」
「はいはい、そういう事にしておきましょ・・・てしまった!」
髭のダークエルフは精霊王の剣に辿り着いてしまった。
マジックアイテムを周囲に置き怪しげな呪文を唱える。
精霊王の剣はついに真の姿を現したのだ。
「よくやってくれたな、オデンよ」
「へ?」
精霊王の剣は一人でに浮き上がると髭のダークエルフ、オデンと呼ばれたそいつは精霊王の剣に貫かれたのだ。
台座から転がり落ちるオデンの身体。
俺はついそいつを抱き止めた。
「どういう事だ!なんで剣が喋ってる!」
「せ、精霊王のご意思じゃろうて・・・」
そう言い残すとオデンは事切れた。
「よくもこの様な姿に閉じ込めてくれたな、ラーゼス!」
精霊王の剣は近くに転がっていた竜王の杖を近くに寄せると、
あろう事かラーゼスと融合したのだ!?
「ははは!この圧倒的パワー!何者にも邪魔はさせんぞ!」
ラーゼスだったそれは青い炎と赤い炎に包まれ邪悪なドラゴンと化した。
「なあ、あんた精霊王なんだろ?世界の均衡を守る存在だし、悪じゃないよな」
「ふん、人間風情が、答えてやろう。我が名はティマージュ、偉大なる精霊の王だ!善だの悪だの均衡だのくだらんわ!全てぶち壊してくれる!」
「どうやら暴走してるようだ・・・いや、あれがあいつの本当の姿なんだろうな」
「それでどうする、ご主人様?」
俺は指輪をかざし、エデンに命じた。
「エデンよ!精霊王を倒せ!」
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