第25話「風の大精霊シルフィード・オルガ」
「ま、魔神ですって?」
エデンの突然のカミングアウトに驚くアンナさん。
だからあれ程隠しとけって言ったのに・・・
「レイア、あなた知ってたの?」
「姉さん、信じて!彼女は私の仲間なの!」
「レイア・・・あなたがそう言うなら信じるわ」
「レイアはアンナさんを頼む、俺とエデンは冠を追いかける!」
そう言うと俺とエデンはあの髭のダークエルフを追いかけた。
エデンの魔力感知の魔法で居場所は分かるし、
同じくエデンの高速化の魔法で移動速度は倍になってる。
これならすぐにでも追いつけそうだ。
「エルフの教会は入り組んでてわかりにくいのう」
「はあはあ、追い詰めたぞ!」
「覚悟しろ、ヒゲ」
「ふん、貴様等なんぞに捕まるものか、ほれ!」
髭のダークエルフはエルフの女王の冠を被ると怪しげな呪文を唱える。
すると辺りに強風が吹き乱れ小さな竜巻が起こった。
「こいつの相手をしとれい!」
髭のダークエルフは転移の呪文を唱えると早々に姿を消してしまう。
そして竜巻の中から人型の風の塊が現れた。
風の大精霊シルフィードオルガである。
俺はいつもの様に後方に隠れるとエデンに指輪をかざし指示をした。
エデンはいつもの事だと呆れながらも承知し、呪文を唱えた。
相手はシルフィードオルガでなく俺だった。
ど、どうして俺に呪文使ってるんだ?
困惑してる俺は声も出なかった。
「たまには自分の力で戦ってみせろ、ご主人様」
「え?」
エデンが俺に高速化の魔法を何重にもかける。
超高速で動ける様になった俺だが・・・どうすればいいんだ?
「あいつの周りを回ってくれればいい」
俺はエデンの指示通りシルフィードオルガの周囲を回ると、
巨大な竜巻が起こりシルフィードオルガをずたずたに引き裂いた。
しかし相手は風だ、直ぐに元に戻ってしまう。
フリーズランス!
エデンが呪文を唱え再生しきる前のシルフィードオルガを貫いた。
それは風の中にあった石、シルフィードオルガのコアだった。
コアが砕け散り霧散していくシルフィードオルガの身体。
俺は高速化の呪文が解ける前に急いでアンナさん達の所へ戻った。
「敵は片付けましたよ!」
急いで戻ってきたが、重々しい空気の式場。
女王の冠がなければ式は続けられない。
つまりアンナさんの結婚は認められないのだ。
「どうして・・・こんな・・・」
泣き崩れるアンナさんに付き添うレイア。
その悲しみを癒すのはどんな魔法でも無理だった。
「さあ結婚式を続けるよ!僕は冠じゃなくアンナと結婚するんだからね!」
新郎のエルフがさっと手をアンナさんに差し伸べる。
その手を取るアンナさん。
式場は拍手喝采で式が再び始められた。
―
その後は何事もなく結婚式も終わり、教会の中庭でくつろぐ俺達。
「アンナさん、綺麗だったな・・・」
「ええ、本当・・・」
少しずつ寄り添う俺とレイア。
俺はいつまでもこの時間が続くようにと願った。
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