第24話「エルフの花嫁」
「はい、結婚式の招待状」
レイアがエデンに封筒を渡す。
「なんだお前ら結婚するのか」
「私じゃなくて私の姉が結婚するのよ」
呆れて額に手を当てるレイア。
なんだ違うのか・・・と少しがっかりした俺だった。
「でね、あなた達には式の護衛を頼みたいの」
どうやらレイアやその姉はエルフの里の名家の出であり、
結婚相手も里の長の息子である為、かなり重要なイベントなんだそうな。
人間の世界で言うのなら王家の結婚式に近い。
無論各国から著名人も招かれる為、それを狙う暗殺者もいるかもしれない。
「でもそんな大きな挙式なら専用の護衛がいるだろう?」
「そうだけど・・・なるべく信頼できる人に頼みたいの」
ふむ、ここでエルフの里に恩を売っておくのも悪くない。
何より報酬がいいからな。
俺とエデンは依頼を引き受け里に向かった。
―
俺達は今新婦の控室にいる。
そこには花嫁衣裳に身を包んだ一人の美しいエルフがいた。
彼女の名前はアンナ。
レイアと同じ金髪のロングヘアーだが、大人の女性を思わせる落ち着いた雰囲気を感じさせる。
「綺麗よ姉さん」
「ありがとうレイア。こちらは護衛の方々?」
「そう、クロウさんとメイドのエデンさんよ」
「よろしくお願いします」
「最強のまじ―もごもご」
エデンが魔神と言い掛けたのを慌てて口を塞ぎ抑えるレイア。
どうやら魔神という事は隠しておきたいらしい。
「ぷはっー、何をするエルフの小娘!」
「人間のエデンさん、疲れてるみたいだからちょっと休んで貰って来るわね」
エデンの事はレイアに任せ、俺はアンナさんの護衛に専念しよう。
そう考えた俺は進行ルートから周囲の間取りまで頭に叩き込んだ。
万一の場合はエデンになんとかして貰うが俺にも出来る事があるはずだ。
万全の態勢を整えた俺はふてくされてるエデンを連れてアンナさんの前後についた。
―
式は無事に進み終了まで後わずかだ。
しかしエルフの女王の冠の戴冠式がある。
これが終われば飲んで騒いでの宴の始まりである。
ここまで何もなかったせいか、俺達は油断していた。
アンナさんに冠が被せられようとしたその時である。
エデンが手をかざし天井を魔術で射抜いた。
「なにやってんだお前!」
「賊が侵入してるぞ、ご主人様」
「なんですって!?」
瓦礫の下にいたのはダークエルフの暗殺者だった。
「きゃああああああああ!」
アンナさんの方から悲鳴が上がる。
そこには見覚えのある奴がいた。
髭のダークエルフである。
「ほほほ、これは貰っていくぞい」
髭のダークエルフはアンナさんから女王の冠を奪い取ると、
大量の暴走した風の精霊を召喚し、その場から離れた。
「おいエデン、まずはアンナさんを助けるんだ!」
「ちっ、わかっている!」
エデンは手をかざすといつもより大きな魔方陣を出現させた。
ダークブラスト!
大量の闇のつぶてが風の精霊だけを精密に狙撃していく。
あれだけ大量にいた風の精霊はもう2、3体しか残っていなかった。
「あ、あなた何者なの?」
アンナがエデンに尋ねる。
「私か?私は最強の魔神にして魔界の姫、エデンだ」
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