第17話「精霊王の剣」

炎の大精霊や土の大精霊を倒してからというもの、

俺に対する依頼がこれ関連ばかりになった。

やれ遺跡の調査だの遺跡の調査だの遺跡の調査だのだ。

俺は考古学者じゃないっつーの。

素人なんだから収穫なんて勿論ない。


そしてまた依頼の用紙に遺跡の調査と書いてあった。

が、いつもと違うのは俺が知っている場所だったからだ。

そう、魔神メイドのエデンと出逢ったあの古代遺跡である。


「よし、久々に行ってみるか―」


「私はいかんぞ。あそこは好かん」


当然である。何千年も封印されていた場所に等、俺だって嫌だ。

でもね魔神メイドさん、あなたに拒否権はないんですよね。

俺は指輪をかざすと強制的にエデンを連れていく事にした。



遺跡を向かう道中、不機嫌そうなエデンに対し俺はうきうきしていた。

何せ何千年もあそこにいた奴がいるのだ、迷う事も肩透かしを食らう事もない。

目当ての物を見つけられなくても、何かしらのお宝は手に入るだろう。

現にお宝を手に入れてる訳だしな。


「言っておくが私は封印されていた所以外碌に知らんからな」


「え?」


「案内役にでもなると思ったか?残念だったな」


俺の期待を裏切った事で少しだけ嬉しかったのかにやりと笑うエデン。

まあいい、戦闘をこなしてくれるだけでも大助かりだからな。


と、ここで依頼の確認をしておこう。

回収物は「精霊王の剣」という代物らしい。

なんと真の姿になると精霊を操る事ができるとか。

これさえあればダークエルフ達のマジックアイテム集めいらないじゃん・・・と思ったが、どうやら剣の完成にそのマジックアイテムが必要らしい。

つまりどこにあるか分からない大精霊を操れるマジックアイテムを探すより、

ある程度場所の分かってるその剣を先に手に入れてしまえば安泰という訳だ。

(奪われない事前提の話だけど)


「おい、着いたぞ」


「ほい、ご苦労さん」


俺は馬車のおっちゃんにお代を払うと、古代遺跡に向けて歩き出した。



「おい、注意して歩けよご主人様」


「地下に行くまでは大した敵はでないから大丈夫―」


すると俺らの前に一体のアンデッドが現れた。

アンデッドに似つかわしくない超豪華な装飾品を身に纏い、素人でも分かるやばい負のオーラを纏っている。

古代都市の宮廷魔術師がアンデッド化した超上級のアンデッドだ。

俺は思わず身を隠す。

おいおい前来た時はこんな危険な奴いなかったぞ!


「お前らが地下の封印を解いたからだろ」


「封印を解いたって俺は別に何も・・・」


「最強の剣、巨大な魔晶石、魔神メイド、覚えがないとは言わせんぞ?」


俺達が回収したアイテムが地下にモンスターを封じる封印になっていたのか?

紛らわしいぞ封印した人・・・


「ちっ、しょうがない、倒すぞエデン!」


俺が指輪をかざすとエデンがアンデッドに超強力な浄化魔法を掛ける。

アンデッドは多少抵抗した物の、一瞬にして消滅した。

多少なりとも責任を感じた俺は、遺跡の地上の敵を一掃する事にした。

地下に進むのはその後だ。

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