第16話「土の大精霊タイタン・オルガ」
前略、俺とエデンとレイアは石像が祭られてるゴーレム神殿へと向かい調査の依頼を開始した。
そこには狂暴化した土の精霊ノームとダークエルフ達がいた。
・・・という訳で現在は戦闘中だ!
後衛にダークエルフの魔術師が一人、前衛に狂暴化したノームが数体が俺達と対峙している。
ダークエルフが命じると、ノームが周辺の瓦礫を飛ばして来る。
「風よ!」
レイアが風のバリアーで俺達に飛んできた瓦礫を吹き飛ばす。
「エデン、頼む!」
エデンはやれやれといった感じで手を払うと、ノーム達は土くれに戻った。
残されたダークエルフはレイアに投降を迫られると、潔くひざまづいた。
俺はダークエルフに近づく。
「何を企んでいるか全部吐いて貰おうか」
俺は隠れるのを止めると剣をダークエルフに向け尋問モードに入った。
―
そのダークエルフは下っ端で詳しい情報は得られなかったが、
どうやら遺跡の奥に眠る古代秘宝を調査しているらしい。
それが何か確かめる為にも、俺達は奥の方に進む事にした。
道中の動く石像やらノームやらダークエルフ達は全てエデンが一掃した。
―
遺跡は一本道で迷う事はなかった。
恐らく最深部であろう扉が見つかる。
他の扉と違い様々な装飾が施されたそれは重々しい雰囲気を放っている。
扉は少し開いていて、そこからは古代のエルフ語が聞こえてくる。
「レイア、何て言ってるか分かるか?」
「ちょっと待って・・・」
レイアは扉にゆっくり近づくと中の会話に耳を傾ける。
「終末の炉・・・封印石・・・精霊王・・・何て事を・・・」
会話の内容にレイアは驚いていたが、一息入れるとレイアが説明してくれる。
「前回の終末の炉の件覚えてる?あの時から計画は始まっていたのよ」
レイアの話はこうだ。
遺跡等に眠る古代の遺物には精霊を操作する力を持つものがあり、
四大精霊(炎・水・土・風を司る精霊の長)をも操る事が出来る。
そしてそれを全て集め、精霊王を操る事ができれば、
この世の四大元素を自在に操り、天候さえも操れる様になるそうな。
ちなみに精霊王の力は神に匹敵すると言われているらしい。
(この世界の神は複数存在するが、どの神とは言及されていない)
終末の炉の炎も既に回収されており、次はこの神殿がターゲットだそうだ。
おいおいなんか話がでかくなりすぎじゃないか?
俺は一旦引き返そうとすると後ろにはダークエルフの暗殺者達が待ち構えていた。
「侵入者だ!」
その一声で次々と現れるダークエルフの軍勢と動く石像達。
もうエデンに頼るしかないと思った俺は指輪をかざした。
「ご主人様よ、本当のゴーレムと言う物を見せてやろう」
エデンが手をかざし出て来た魔方陣から漆黒の石がガタガタと落ちて来る。
それらは石同士結合すると大きな人型になった。
エデンはゴーレムの肩に乗ると命令を下した。
「雑魚共を薙ぎ払え!」
ゴーレムの巨大な腕の薙ぎ払いで一掃されるダークエルフの軍勢達。
エデンはまるで子供が玩具で遊ぶ様に敵を最後の一人まで駆逐した。
「さあ次は奥の扉だ!」
エデンが命じると最深部の扉がゴーレムのパンチで破壊される。
そこには護衛が数人と髭を生やしたダークエルフの魔術師がいた。
「貴様等か、終末の炉で好き勝手やってくれたのわ!」
髭のダークエルフがエデンに向かって言う。
問いには答えず、だとしたらどうだと言った目でゴーレムの肩から見下ろすエデン。
「よかろう、ゴーレムの丁度いい実験材料になるわい」
髭のダークエルフが挑発気味に言うと、手に持った封印石を持って呪文を唱えた。
すると遺跡が崩落するかのような大地震が起きた。
エデンは魔術バリアを張ると俺とレイアを落石から守ってくれた。
地震が収まると既に髭のダークエルフの姿は無くなっていた。
それだけではない、目の前には超巨大な石巨人が立っていたのだ。
俺とレイアは驚愕していたが、エデンだけニヤリとほくそ笑んだ。
「ご主人様よ、今度こそ本当のゴーレムと言う物を見せてやろう」
―
今俺達の目前にいるのは石巨人、終末の炉での事を考えると、
中には土の大精霊が入っているのだろう(タイタン・オルガと名付けた)
その石巨人に向かってエデンだけは喜々としている。
「いでよ、巨大なる我が僕!ナーロックス!」
巨大な魔方陣が俺達の眼前に現れると、メタリックで巨大な人型のゴーレムが現れた。
エデンは浮遊魔法で飛行するとナーロックスの中に乗り込んだ。
「ふふふ・・・、こいつに乗るのは久しぶりだ」
石巨人が動き出す前にナーロックスが拳を繰り出す。
石巨人の動きは鈍く、ナーロックスの圧倒的な攻撃が次々と決まる。
「これでトドメだ!」
ナーロックスの巨大な単眼から極太の熱線が放たれる。
石巨人はレーザー攻撃で真っ二つにされた。
これにて巨大なゴーレムバトルは閉幕した。
「随分とあっけなかったな・・・」
「やっぱり魔神ね・・・」
俺とレイアはあの魔神メイドが味方でよかったと心底思った。
―
遺跡は巨人の出現と先程の戦いで崩壊している。
これでは調査はもう不可能だろう。
しかしこれまで得た情報で十分な筈だ。
俺個人の手に負えないと感じた俺は各種ギルドに相談した。
そして・・・
―
今俺は冒険者ギルドにいる。
受け付けの親父から伝えられた情報によると
『これからお前らには精霊関連の依頼を出す』との事だ。
終末の炉やゴーレム遺跡での功績を認めてくれたからか、
俺らへの依頼の難易度が格段に上がっていた。
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