第13話「魔神メイドと亡霊メイド②」
私の名はエデン、最強の魔神にして魔界の姫だ。
本来メイド等と言う屈辱設定は私はする気が無かったのだが、
私を封印した奴の趣味でメイドにさせられたのだ。
まあ愚かな冒険者達を騙し易い設定として当時は受け入れていたのだが、
今は完全に後悔している。
「いかがされましたか?」
メイドのメイが私に尋ねて来る。
如何も糞もあるか、私の機嫌は今非情に悪い。
憂さ晴らしに何かしようにも今は指輪の力でこの状況を受け入れるしかない。
「別に・・・」
私は怒りを隠し、ボロ屋敷の窓をちらっと覗きながら興味無さげにそう言った。
「ん・・・?」
私は屋敷を案内されてる間にその内装に目が付いた。
ボロ屋敷なのは外からだけで、内側からは絢爛豪華な屋敷の正体が現れるのだ。
年代物の美術品や良く手入れされた絨毯や床、蜘蛛の巣一つないシャンデリア...
どれも一級品の物だ。
かつて自分の住んでいた屋敷には劣るが、まあ住んでやってもいいだろう。
そう勘違いしていた矢先にメイから声がかかる。
「ここがあなたの部屋です、エデンさん」
「なっ!?」
私は驚いた。
何て質素な部屋何だろう。
中にはベッドと最低限の家具しかない。
ここならクロウの家の方が何倍もマシだ。
「よ、よい犬小屋だな。ここは犬も飼っているのか」
「確かに犬は飼っていますが、ここはエデン様の部屋ですわ」
真顔で真実を突き付けてくるメイ。
私は分かったと告げ、その部屋で休む事にした。
「では当主様がお会いになる時間になりましたらお知らせしますね」
私は無言でうなずくと、固い使用人用のベッドに寝そべった。
最初は背中が痛くて碌に寝る事が出来なかったが、
戻ってからのクロウへの復讐を考えてる内に次第に眠りとつく事ができた。
―
コンコンとノックの音で目を覚ました。
扉の音すらせず人影だけが目の前にいる。
そこには案内役のメイドのメイがいた。
「身なりを整えて下さいエデンさん、当主様にお目通りの時間です」
いつのまにか様がさんに変わっている。
お客様扱いは終わったという事か。
いいだろう、どんな屈辱にも耐えてやろう、最強の魔神メイドの名にかけて!
まだ見ぬ当主にメラメラと対抗意識を燃やす私であった。
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