第12話「魔神メイドと亡霊メイド」
俺の名はクロウ。
英雄とは程遠い普通の凡人騎士だ。
しかし俺には忠実なメイド、もとい魔人メイドがいるのだが・・・
「おいご主人様、腹が減ったぞ。食事の用意はまだか?」
「おいご主人様、マッサージを頼む」
おいおい、そのメイド服は飾りですか?
こいつは戦う事以外はてんでダメなので俺が家事全般をやっているのだが、
どうも最近のこいつは自分の立場が分かっていないらしい。
唯一の楽しみの夜伽もテクがあれじゃあな・・・
と、鍋がふきこぼれるところだった。
この料理は火加減が難しいんだよなぁ・・・
・・・はっ!?なんで俺がメイドの真似事をせにゃならんのだ?
自分の分だけならまだしもコイツの分までなんて・・・!
俺はついかっとなり、今最強の魔神にマッサージしている事を忘れていた。
ぽよんと柔らかい感触が手に当たる。
そう、おっぱいだ。
「あ、ごめん」
「変な所を触るんじゃない!!!」
ビンタどころか最上位の魔法を飛ばして来る魔人メイドのエデン。
俺は慣れた動きでそれを回避する。
本人曰く加減してるらしいが、とてもそうは見えない。
なんとかこの状況を打開する方法はないものかと考えた結果、一つ名案が浮かんだ。
―
ここは冒険者ギルド、依頼を求めて冒険者が集う場所。
そこで俺は数日前から気になる依頼を見つけていた。
その名も“1週間メイド募集中”の依頼だ。
そもそもこの類の依頼が冒険者ギルドに来ること自体が稀なのだが、
その上場所が亡霊屋敷と名高いクラース家の館なのだ。
ただの貴族ならぬ亡霊貴族の家でならエデンも少しは大人しくなるだろう。
俺はそう期待していた。
依頼人に攻撃はさすがに・・・しないよな!うんしない、大丈夫大丈夫。
そう心で念じながらその依頼を受ける事にした。
―
そういう訳で現在クラース家の館前に来ている。
かつての名家の名残すらなく、ほぼ廃墟と化している。
まあなんとか人が住めそうでもない、そんな所だ。
そしてそこが浮浪者やならず者達の住処にならないのはまだ住人がいるからだ。
それもただの住人じゃない、これは噂だがここの家主は人間ではないと言われている。
何故ならここに行った誰もが帰ってこないからだ。
そんな彼ら彼女らならエデンを厳しく躾けてくれるに違いない!
そう思い俺はエデンをこの依頼に差し出し、もとい挑戦させるのだ。
え?エデンの心配は?生きて帰れる保証がない?そこは最強の魔人メイドだから心配はしていない。
「そういう訳だから頑張ってこいよ」
「何がそういう訳だ!他の人間の指図も受けるなど私は―」
エデンが暴れ出す前に俺は指輪をかざし命じた。
「俺以外の館の人間の命令はしっかり聞くように。ただし命の危険がある場合は自由にしていい」
「ちっ、しょうがない・・・」
エデンはやれやれといった感じで指輪の命令に従う事にした。
―
チリンチリンと館の呼び鈴を鳴らすと巨大な門が開いた。
するとそこにはいつのまにかメイドが一人立っていた。
「あなたが依頼を受けて下さったクロウ様・・・そしてメイド志望のエデン様ですね?」
「私はメイドのメイですわ。ようこそクラースの館へ」
メイと名乗った黒髪のショートヘアの美しい少女は顔には生気がなく、
笑顔一つ無い冷ややかな表情だった。
そしてメイは俺達にそう告げると、エデンだけ館に招き入れた。
がんばれよ、エデンと心の中で応援しつつ、俺は館を後にした。
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