第11話「炎の大精霊イフリート・オルガ」
「ふふふ、コレが終末の炉の炎か」
そこにはダークエルフの女魔術師がいた。
趣向を凝らしたローブに、身に着けた数々のマジックアイテム、
どうやら彼女がダークエルフ軍のリーダーらしい。
「お前の仲間は全滅したぞ、大人しく投降しろ!」
俺がダークエルフのリーダーにそう告げる。
しかし彼女は余裕たっぷりだ。
「投降?する訳がないだろう?」
彼女はナイフを取り出す。
そのナイフは戦闘用ではなく儀式用の物だ。
彼女はそれで自分の指をほんの少しだけ傷つけた。
俺達がそれに気づくにはほんの数秒遅かった。
終末の炉にダークエルフの血の付いたナイフが落ちた。
溶岩の如き炎はそれを一瞬で溶かし灰にする。
そしてその炎が巨大な精霊に姿を変える。
「さあ、炎の大精霊よ!こいつらを焼き尽くして頂だい!」
「心得タ・・・」
炎の大精霊、ここではイフリート・オルガとでも呼ぼうか。
イフリート・オルガが手を俺達にかざすと、溶岩の塊がつぶての様にとんでくる。
「エデン、頼む!」
もうエデンを出し惜しみしないと決めた俺はエデンに指輪をかざして命じた。
彼女はやれやれといった感じで溶岩を魔術障壁で防ぐ。
その後、分厚い魔術障壁の後ろに俺達を下げると、イフリート・オルガに指を
さしこう告げた。
「暑苦しい奴め、水浴びの時間だ!」
彼女の指先に魔方陣が形成されると、そこから大量の水が放たれる。
しかもただの水ではない、マナ汚染水だ。
マナ(精霊力)を衰退させるソレは精霊には天敵だ。
大精霊であるイフリートオルガも例外なく影響を受ける。
通常の量でさえ絶大な効果を誇るのに、大海の荒波の如く受け続けるのだ。
イフリートオルガは反撃する間もなく、次第にその炎をしぼませ、そして消えた。
さて、洗いざらい吐いて貰おうか、ダークエルフのリーダー。
そう俺が思った時には彼女は終末の炉に身を投げ出していた。
今回の件に黒幕がいたのかいないのか、終末の炉で何をしたかったのか、
今一はっきりしない終わり方となった。
―
「皆の衆、大儀であった!」
メイルが全員にエール(酒)を振る舞い乾杯する。
鍛冶場のドワーフ達から王国の兵士までどこを見てもドワーフだらけだ。
エデンとレイアも絡まれている。
ひと悶着なんか起こさないでくれよ・・・と祝杯を挙げつつ心配する俺だった。
―
皆が寝静まった夜、終末の炉に近づく影があった。
それはエデンであった。
今回の主役という事で見張りに顔パスで通された彼女は、
あろう事か終末の炉に手を入れた。
10秒程手を入れてから手を引き抜くエデン。
そこには無傷の手と、未だはまったままの指輪があった。
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