第7話「凡人騎士と骸骨騎士」
空気も凍る寒空の夜、一人の男が酔っ払って歩いていた。
今は夜中なので誰もいない、人気のない道だ。
そんな暗い夜道にコツンコツンと馬の蹄の音が響く。
その正体にどすんとぶつかる男。
「いてーじゃねぇか!どこ見て歩いてるんで…い?」
「その魂、頂くぞ」
馬の乗り手が剣を男に振り下ろす。
男の身体が両断される。
そして男の死体がぽわっと光ると、魂の様な光が抜けた。
そして光が剣に吸収される。
―
と、そんな事件が立て続けに起きてるらしい。
「で、俺らに依頼が回って来た訳だが・・・」
クロウはやれやれと言った感じで指輪をかざす
「おい、依頼の話位まともに聞けよエデン」
「構って欲しいのか?仕方のないご主人様だ」
「怠惰の魔神等置いて私達だけでいくぞ、クロウ」
ここ最近高難度の依頼や冒険者の塔制覇のせいかやたら名が売れた俺達。
そこで最近王都を騒がせてる魔物による辻斬り事件の依頼を任される事になったのだが・・・
やる気のない最強魔神メイドのエデンとやる気のあるエルフの女騎士レイア、
この面子を率いてこの依頼をこなせるのか、不安しかない俺であった。
さてさっそく夜道を待ち伏せ、ではなくまずは情報収集だ。
エデンの力でチート無双してもいいのだが、
気まぐれな彼女頼みにしていいものか。
もしその場にいなかったり言う事を聞かなかったらと思うと背筋が凍る。
契約の指輪の効果も万能ではなく、なんでも強要できる訳では無いのだ。
一方レイアは魔法剣士で魔法も剣も腕が立つ上に、やる気もある。
ただ防御面に難があるので、ヒーラーのいない俺らのパーティーには致命的な弱点だ。
俺?俺はただの凡人騎士だ、頭数に入っていない。
という訳で今からヒーラーを雇う訳にもいかないので、
回復ポーションの買い出しだ。
エデンは当然付いてこない。
レイアと俺の二人で道具屋まで向かう。
「まるでデートみたいだな」
「ぶふっ!?な、何を急に言い出すのよ!?」
レイアにちょっと挑戦してみた。
案の定こういう事には耐性が無いらしい。
徐々に距離を詰めていく俺達二人。
甘い雰囲気に包まれながら最終的には手を繋いで道具屋に入った。
「あっ」
互いに同じポーションを取ろうと手が触れ合うレイアと俺。
そして顔を赤らめ手を引っ込めるレイア。
この時の買い物のせいか、レイアの俺に対する態度が少しだけ柔らかくなった気がした。
―
「ようやくご帰還か、ご主人様」
エデンが冒険者ギルドの中で早くもくつろいでいる。
「あなた、やっぱりサボっていたのね・・・」
「心外な。貴様等こそでーとなる物で遊んでいたのだろう?」
「なっ!?ちちち違うわよ!デートなんて・・・」
思わず顔を赤らめるレイア。
一方でエデンは涼しい顔をして数枚の紙を俺達に差し出す。
そこには今回のターゲットの情報が書かれていた。
「魔界の者ならば私に知らん者はない」
鼻を高くするエデン、そしてその紙にはこう書かれていた。
“スケルトンナイト”と・・・
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