第4話「凡人騎士と冒険者の塔(30F)」
さっそく俺達三人は冒険者の塔へと足を踏み入れた。
メイド魔神を前衛に置き、俺とメイルは後衛に回る。
これで全ての敵をメイド魔神に頼み、俺は後方警戒に専念できる。
「来たぞ!」
「ふん、退屈な相手だ」
さっそく現れたリザードマン6体は彼女の手の一振りで消滅する。
魔神メイドにとってはリザードマン等その辺のトカゲ以下の存在だ。
「あ、あんた、なかなかやるじゃない」
「当然の結果だ、雑魚だからな」
メイド魔神に関心するメイル。
少しずつわだかまり解いていく二人はいつのまにか仲良くなっていた。
「ねえ、あんた名前はなんて言うの?まさかメイドって名前じゃないでしょ?」
魔神メイドは俺の方を見る。
そういえば俺も名前は聞いてなかったなと彼女に頷いた。
「私の名はエデン、魔界最強の魔神にして魔界の姫だ」
「へえーあなたも姫なのね、って魔神!?」
魔神と言えば最強クラスの高位のデーモンだ。
その辺のドラゴンならペット感覚で扱う位強く、
その中でも上位となればまさに最強の存在であろう。
英雄と呼ばれる冒険者達が束になって掛かってようやく相手になる強さだ。
強いだけでなく残忍であるとも聞く。
そんな怪物をメイドとして使役している俺がどんな強い存在か、
メイルは俺を若干畏怖して少しずつ距離を取った。
「じゃあこれからはエデンって呼ぶわね」
「じゃあ俺も」
「気安く私の名を呼ぶなと…まあいい、敵だぞご主人様」
エデンの視線の先には黒いゴーレムがいた。
確か30Fの番人だったはず…昔勝てなかった相手だ。
「気を付けろ、そいつに近づくなよ!」
俺の静止を聞かずにメイルはゴーレムに近付く。
メイルは鎧があるから大丈夫だと安心しきっている。
ゴーレムは体に付けた宝石から熱線を発すると、
レーザー光線はメイルのどてっ腹に当たった。
メイルは衝撃で吹っ飛んだが、鎧が少し焦げた程度ですんだ。
さすがは王家に伝わる伝説の鎧だ。
しかし強いのは鎧であり彼女ではない。
彼女の鎧でない部分に当たったら彼女は一発でお陀仏だったろう。
俺はエデンになんとかするように指輪をかざす。
しかし首を振るエデン。
「なんでもかんでも私がやっていてはメイルが成長せんだろう」
「(確かに…いやでも護衛の仕事が・・・)」
「手出しは無用だぞ!フルアーマーモード!」
メイルはそう叫ぶとメイルの鎧が変形し全身を包んだ。
「これでどこを攻撃されても平気だぞ!」
ゴーレムにじりじりと近づき間合いを詰めるメイル。
ゴーレムはレーザーで攻撃するが鎧に弾かれてしまう。
しかし今度は吹っ飛ばされずに踏ん張って徐々に近付いていくメイル。
ゴーレムにある程度接近するとレーザー攻撃は収まり今度は両の手で薙ぎ払う戦法に切り替わった。
「さて、そろそろ出番か」
エデンが指一本差し出すとゴーレムの動きが止まる。
俺はゴーレムの弱点である核の宝石を魔剣ブルーノヴァで打ち砕いた。
巨大なゴーレムは音を立てて崩れ落ちていく。
番人の瓦礫の後ろには31Fへの扉が見え隠れしている。
「ちょっと!手を出さないでっていったじゃない!」
「協力して戦う、これが冒険者という者だろう?」
エデンの言葉にぐうの音も出ないと言った感じで押し黙るメイル。
「じゃあ行こうか、未踏の31Fへ」
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