第3話「凡人騎士とドワーフの鎧姫」
「暇だな…依頼はないのかご主人様」
「……あーはいはい、依頼ね」
どっちが主人か分からないこの状況。
家事は何をやらしても駄目な駄メイド。
しかし戦闘には役に立つ、何にしても魔神だからだ。
俺は渋々冒険者ギルドに出向く事にした。
「何か依頼はないか?とんでもない難しい奴」
「凡人騎士様よ、無理はしない方がいいぞ」
なじみのギルドの受付が依頼の書かれた紙を出す。
そこにはドワーフの姫の護衛と書かれていた。
「ドワーフの王族なら専用の護衛がいるんじゃないのか?」
「どうやらお忍びらしいんだと」
よくある我侭お姫様の一人旅に付き合えと言う依頼らしい。
俺はまたメイド魔神に悪態をつかれる事を考えると軽くめまいがした。
「貴様等が妾の護衛か、よろしくな」
この低身長のお姫様が今回の護衛対象、メイル・プリガンダインだ。
とあるドワーフの国の次女で尊大で勝気な性格である。
そう、まるでうちのメイド魔神の様な・・・
「貴様…だと?私に対して随分な口の利き方だなチビ姫」
「な、チ、チビ姫だと!このメイド風情の癖に!」
ぐぬぬぬぬぬ!!!と目に見えない火花が散っている気がするが、
ここは立ち入らないでおこうと身を引く俺だった。
―
「さあ、ここが目的地だ!」
道中トラブルも無くメイルは上機嫌だった。
そしてその目的地は通称“冒険者の塔”、冒険者達が腕試しに使うダンジョンだ。
冒険者達はそこで何階までいったか競う訳だが・・・
「で、お姫様、今回は何階まで行く気で」
「うむ、50Fまででいい。お主らにも丁度いいだろう?」
メイルは自信満々に答える。
しかし50Fは上級冒険者の登竜門だ。
俺でさえ30Fが限界だって言うのに、初心者冒険者のメイルには無理だ。
しかしメイルは着ている鎧をぽんぽんと叩く。
「心配はいらんぞ。妾にはこの“王鎧プリガンダイン”があるからな」
なるほど、防御面は王家に伝わる鎧で十分な訳だ。
そして攻撃は俺達に任せる、という訳だ。
だからメイルは武器すら持っていない。
「ふん、チビ姫のお守りという訳か」
かなり不服そうな魔神メイドだが、俺は指輪をかざし怒りを鎮める。
さあ冒険の始まりだ。
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