第2話「凡人騎士と魔神メイド」

俺の名はクロウ、平凡な冒険者だ。

一応貴族の出で騎士を名乗っており、通り名は凡人騎士。

どんな平凡な依頼もそつなくこなす、特徴がないのが特徴の凡人だ。


しかしそんな俺にも転機が訪れた。

高位の魔神を手中に収める事ができたのだ。

俺は同行者の戦士と魔法使いの2人と別れると、

魔神の呪文で早々に我が家に帰って来た。


「それじゃあ魔神様の手料理でも食べさせて貰おうかな」


俺は契約の指輪をかざすとメイド魔神に命じた。

魔神メイドは渋々了承すると小さな魔方陣を出現させ食材を呼び出す。

うーん、他人に奉仕される事がこんなに幸せな事だとは。

一応貴族の出だが、没落貴族で使用人は腰を痛めた爺さん一人だった。

しかし今は美少女のメイドがなんでもしてくれる!

俺は椅子に座りながらバラ色の未来を想像しながらほくそ笑んでいた。

しかし…


「あの、なんですかこれは…」


「私の手料理が食べたいのであろう?」


魔界の蟲のステーキ、グロテスクなサラダ、毒の様なカクテル、

おいおい、俺を殺す気ですかこのメイドは?


「どうした、食べないのか?じゃあ私が頂くぞ」


怪訝そうに俺を見つめる彼女はそのモノを食べだした。

どうやら見た目はアレだが、普通の食べ物だったらしい。


「じゃあ、俺も頂くとする―」


ぶうううううううううううううう!

思わず吹き出す俺、なんだこの劇物!?

俺は飲み物を飲み二度目に吐くと、普通の水を取り出して飲む。

ごくごくごくーぷはっー


「まさか普通の水がこんなにおいしいとわ・・・」


どうやら料理の腕は殺人級らしい(悪い意味で)

次に掃除を命じたら…


「掃除?任せろ」


魔神メイドは魔法で部屋をぶっ放した。

どうやらあらゆる家事に対し彼女は魔神級らしい。


「どうだ、綺麗になったろう?」


「家事はもういい…仕事に出かけよう」


今度の仕事はスライム退治だ。

ただのスライム退治じゃない、1000体はいるであろう大群だ。

俺は再び指輪をかざすと魔神メイドに倒す様に命じる。

魔神メイドはにやっと笑うとスライムに手をかざす。


「煉獄の獄炎よ!灰塵と化せ!」


巨大な爆炎が放たれるとスライムの99%が一気に蒸発した。

残った1%を俺が魔剣ブルーノヴァを振るいぷちぷちと殲滅していく。

どうやらこの魔神メイドは戦闘の方が得意らしい。


戦闘が終わり報酬を貰った。

家路についた俺らは、いや俺は魔神メイドに夜伽を命じる。

最初はぽかんとしていた彼女だが、俺の意図を汲み取るとにんまり微笑む。


彼女は俺に強引に抱きつくと、俺と熱烈なキスを何度も交わす。

舌を絡めて豊満な胸を押し付ける魔神メイド。

次を期待する俺だが、退屈にもそれが繰り返されるだけだった。


「お前・・・経験ないだろ」


「なっ!」


どうやら図星らしい。

俺と魔神メイドの奇妙な同棲生活はこうして始まった。

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