落ちこぼれで凡人冒険者の俺が最強魔神メイドを手に入れる!後悔してももう遅い!

勇者れべる1

第1話「契約!最強の魔神メイド」

ここはとある遺跡の地下。

長年誰も見つけてない隠し扉を偶然見つけた俺達3人の冒険者達は、

云千年の歴史のある古代王国の秘宝が眠ると言われる幻の地下空洞にいた。

なんとそこは超激レア品の眠る宝物庫だった。

そしてそこには3つの扉があった。


「俺はせっかくだからこの青い扉を選ぶぜ」


「じゃあ私はこの黄色い扉を」


「なら俺は残った赤い扉を・・・」


それぞれ入った先で大きな歓声が上がる。


「どうだ!この輝きは!」


青い扉を通った戦士は最強の剣を得た様だ。

それは空気の様に軽く、岩を水の如く切り裂き、

そして更にあらゆる魔法の加護が掛かっていた。

戦士はまだ使っても無いのに、まるで家宝の壺の様に丹念に磨いている。


「これで私は大金持ちよ~♪」


黄色い扉に入った魔法使いは巨大な宝石を抱えている。

それは貴重な古代魔術が封印された魔晶石で、

小国丸々一つ買ってお釣りがくる程の価値があるという。


そして俺は…


「ごきげんよう、ご主人様」


俺はメイドを手に入れていた。




ここだけ見れば俺が一番大損した様に見えるだろう。

しかし一番得をしているのは実は俺なのだ。

詳細は俺が赤い扉を開けた瞬間に時を遡って説明しよう。


「ごきげんよう、冒険者のご主人様♪」


そこには長い銀髪の美しい、この場に不釣り合いのメイドがいた。

ここはそこそこ難しいダンジョンの地下、それも隠しエリアである。

ここにいるという事はこのメイドは相当の手練れという事になる。


ぽいっ


慎重騎士な俺は剣の鞘をメイドの側に投げた。

どうやら罠は無い様だ。


「君はいったいいつからここに?」


「ええっと、ざっと四千年ほど前からでしょうか?」


さらりととんでもない事を言い出すメイド。

しかし俺の驚愕はまだまだ続く。


「サーチ!」


「?」


俺はメイドの女に強さ感知の魔法を掛ける。

しかし俺の力不足なのか彼女の力を計る事は出来なかった。

つまりただのメイドじゃないって事だ。

俺はしかたなく先に進むとした。


「それではご主人様の願いを3つだけ叶えて差し上げましょう」


「じゃあ願いを100回に―」


「まあご主人様ったら、ご冗談が上手いんですわね♪」


メイドの顔は笑っているが、内心怒ってるのがバリバリと伝わってくる。

俺は真面目に言ってるのだが、一瞬感じた悪寒に恐怖を感じたので、

そこはジョークとして流す事にした。


とりあえず俺は一つ目の願いとして魔法の剣を出して貰った。

それは青白く光っていて、最強ではないがそこそこ強そうな剣だった。

どうやらメイドの力は本物の様だ。

ついでに俺はその魔法の剣をブルーノヴァと名付けた。


しかし魂を抜かれるとか何らかの代償を危惧して、

「あえて最強の」にはしなかったのだが、そういう様子は微塵も無かった。


「なあ、この願いって代償はないのか?」


メイドに尋ねる俺。

メイドは笑顔のままはっきりと答える。


「はい、無償でご奉仕させて頂きますわ♪」


「じゃあ願いを叶えきったらどうなるんだ?」


「……」


無言のまま笑顔で立ちぼうけるメイド。

どうやら願いを叶えきるとよくない事が起きるらしい。

なら2つ目の願いで全てを決めるしかない。


「じゃあ二つ目の願いを言うぞ…」


「はい、どんな願いでも―」


「俺が死ぬまで仕えるメイドさんになってくれ!」


「え!?」


俺とメイドの少女の間に眩い光が現れる。

それが収まるとお揃いの二つの銀の指輪が二人の指にはまっていた。

それは「契約の指輪」、相手が国王だろうが勇者だろうが大魔術師だろうが、

絶対の服従の誓約を交わす事ができる。


「じゃあ三つ目の願いを―」


「お待ちください冒険者様!私は悪い魔術師に捕まってここに閉じ込められたんです!どうか私をここから解放する様に願っては頂けません―」


「やっぱやーめた」


「へ?」


「あ、メイドさんだから今後は色々お願いすると思うけど、それは2つ目の願いの内だからね、念の為」


「貴様ァ!ふざけるなぁあああああああああ!」


メイドの肌の色が紫色に変わり、巨大な爪と牙、そして二枚の羽が生える。

どうやらメイドの正体は魔神だったらしい。

しかもここに四千年も封印される程の強者だ。

それを永続的に使役できるのである。

今の俺は最強と言ってもいいだろう。


「本性現したりって奴だな」


「でも2つ目の願い、忘れてないよね?」


俺が指輪をかざすとメイドは元の姿に戻る。


「これから一生仕えて貰うからね、メイドさん♪」


俺は二コリと笑うと赤い扉を開け広間に出た。

先の二人が後悔してももう遅い。

俺は最強のメイドを手に入れたんだからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る