第4話

 帰宅すると、その燕の子はまだ生きていた。

 鞄を玄関口に置いたまま、出しっぱなしにしてあったらしい丸椅子に乗り、落ちていた燕の子を、コロンと巣に戻した。

「ありがとう」

「ああ。落ち着くといいね」

夜の間に元気になって、奇跡的に回復してくれれば、そうすれば、妻も私も救われる。奇跡的に……。

 その夜、妻はベッドで私に背を向けた。私には、その妻の態度がありがたかった。

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