第711話 大学側の説明が理解できない。

ソースは秋田放送。Yahooニュースより


<以下引用>

秋田大学は医学部附属病院で去年、大動脈瘤の破裂が疑われ救急搬送された患者を「緊急性なし」と判断して帰宅させ、翌日に患者が亡くなる医療ミスがあったと発表しました。


秋田大学によりますと去年、県内に住む80代の男性が大動脈瘤の破裂の疑いで紹介元の病院の医師も同乗し、医学部附属病院に救急搬送されました。附属病院は紹介元の病院で撮影されたCT画像から「破裂の所見はない」と判断。手術は行わず、翌日かかりつけ医を受診するよう説明して帰宅させました。


しかし翌日、男性は容態が急変し死亡しました。死因は大動脈瘤の破裂でした。秋田大学は死亡事故調査委員会を設置して調べた結果をもとに、判断には過失があったと発表しました。


紹介元の病院から提供されたCT画像には造影剤の影響があり、陰影を血腫と判断できなかったことなどが過失の原因だったと説明しています。そのうえで紹介元の病院に診断の過程を確認しなかったこと、経過観察入院とせずに帰宅させてしまったことも原因だとして「緊急性が高いと他の病院で判断されている場合は、入院の上での経過観察を原則とすること」などの再発防止策を講じることにしています。


<引用ここまで>


ニュースでの「大動脈瘤の破裂」ということが、本当に「大動脈の破裂」なのか、「大動脈解離」を指しているのか、よくわからないところであるが、どちらにせよ、診断のためには造影剤を使った「造影CT」 を撮影するのが「当たり前」である。


本来、診断は「画像」だけで行なうものではなく、患者さんの病歴や身体所見も考慮して、総合的に判断すべきものである。


初診医は、おそらく病歴、身体所見から「大動脈破裂」もしくは「大動脈解離」を疑って造影CTを撮影したのだろう。そして、かなりの「確信」をもって患者さんを転送しているはずである。


「想定される疾患」が重篤であるほど、その除外には注意を払う必要がある。「CT所見」から、「破裂の所見はない」、と判断したそうだが、その判断が、患者さんの症状、病歴と一致するのか、「大動脈破裂/大動脈解離」でなければ、その症状を来した原因は何なのか、高度の医療を提供すべき大学病院であれば、そこまで突っ込むべきであろう。


一般的には「後医は名医」と言われ、情報量や、病状の進行から、「後に診る医師ほど、正しい診断に辿り着きやすい、と言われているのだが、今回は違ったようである。


おそらく、前医では造影CTを撮影する前に、造影剤を使わない「単純CT」も撮影していると思われる。「単純CT」 と「造影CT」の画像があれば、さらに診断は容易だったかもしれない。


閑話休題。大学病院側の説明として、「CT画像には造影剤の影響があり~」との文言があるが、「大動脈破裂/大動脈解離」を疑えば、撮影できる病院であれば「造影CT」を撮影するのが「当たり前」である。前医は「大動脈破裂/大動脈解離」を疑う、ということで患者さんを転送してきたのであろう。「前医」が診断できたものを「後医」が同じ画像を見て、診断できなかったのはなぜだろう。


という点で、大学病院側の説明、スッキリしないのだがどうなのだろうか?


救急医療、時に「本当に微妙」だけど「見逃すと命を落とす」変化を呈している患者さんが来るので、難しいところである。

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