第583話 そういえば…(研修医時代の給料の思い出)

今朝、いつもの通り回診後、自分の机で書類を作成し、始業時間(AM9:00)まで少し時間があったので、いつも確認するネットサイトを確認した。


某サイトで「給料」にかかわるジョークが載っていた。内容はこんな感じであった。


自分は月に25000ルピーの給料をもらっている。先月、どういうわけか27000ルピーの給料をもらったが、「何かのボーナス」だろうと思い黙っていた。今月の給料が23000ルピーだったので、経理のスタッフに文句を言った。


スタッフは、「先月間違えたときは、何も言わなかったでしょう!」と言ってきたので、自分はこう答えた。


「僕は、一度目のミスは黙ってやり過ごすんだ。でも2回目のミスは許さないよ」



ちょっとクスッとなるジョークである。が、このジョークを読んで、ふと、研修医時代の給料のことを思い出した。


私は初期研修、後期研修を某巨大医療グループに属する病院で受けた。一応巨大な組織なので、福利厚生のシステムについてはしっかりしていたのだが、どういうわけか、給料のミスがとても多かった。


同期、先輩、後輩とも結構「給与計算ミス」を食らっていたので、給与支給日には、必ずみんな、レジデントルーム(研修医の休憩室兼セミナー室兼ロッカー室)に集まって、給与明細とにらめっこをしていた。


給与の固定部分は基本的に動かないので、間違えられることはないのだが、「当直回数、当直手当」は毎月変動があるので、給与計算ミスのほとんどはここに由来する。


仲間で集まって、当直表を見ながら、当直の単位数を確認する。大体誰かが、「あっ、間違えている」と声を上げていた。もちろん私も、何度も間違えられた。


確率論で考えれば、「多くミスをする」確率も、「少なくミスをする」確率も同程度のはずなのであるが、どういうわけか、「あっ♪、今回は多かった♪」ということが全くなく、給与計算ミスはすべて「少なく算定」されていたものであった。


当直表と給与明細をもって事務部に報告に行くと、翌月にミスした分が追加で払い込まれるのだが、疲れがたまっていると、チェックせずに流してしまう事もある。


なので、個人的には、あの「給与ミス」は、本当はミスではなくて、病院側(あるいは法人側)が「故意」に回数を1回分減らし、「バレなければ結構」と考えていたのかもしれない、と思っていたことを思い出した。


確かに、誰も、一度も「多く算定されていた」というのを聞いたことがないんだよなぁ。あれだけ「給料間違えている!当直1コマ少ない!」という声はたくさん聞いたのに。


真相は藪の中だが、「実に不思議だ。確率論で考えてもおかしい」と思っていたことを思い出した次第である。

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