第567話 ドッペルゲンガー、というよりもそっくりさん

世界には、自分に似た人が3人いる、という話をしばしば耳にする。自分に瓜二つの人を見てしまうと、その後自分の命が尽きてしまう、ということを「ドッペルゲンガー」というらしい。ありがたいことに、まだ私は、私と瓜二つのそっくりさんを見たことはない(息子たちを除く)。


今、読売新聞の夕刊を読んでいると、香港映画の紹介をしているコラムがあった。そのコラムには、監督と主演女優の写真が載っていたが、その写真を見て、一瞬息が止まった。主演女優のアンジェラ・ユンさん、私が高校時代に思いを寄せていた女性に瓜二つだったからである。アンジェラさんの笑顔、あの頃の彼女の笑顔と瓜二つである。こういうものを目にすると、胸が痛むからつらいのよねぇ。


後期研修医のころだったが、誰かが買ってきた少年マガジン。その表紙とグラビアに、デビューしたての蓮佛美沙子さんが掲載されていた。その時の蓮佛さんの表情や姿は、昨年の8/2にこの文章で書いた、私の命を揺さぶるほど好きになった人と面影がとてもよく似ていて、とても胸苦しくなったことを覚えている。


私が研修医4年生の時に初期研修医として入職してきたメンバーの一人も、8/2の人とよく似た雰囲気を持っていた人だった。初期研修医ではあったが、学生結婚をしていて、お子さんもいた人だった。彼女とも、別に何があったわけではないが、彼女に会うたびに、8/2の人を思い出していた。8/2の人、やはり自分の魂に思いきり刻まれているのだろう。今でも時に夢を見る。


山崎まさよし氏の名曲”One more time, One more chance”ではないが、不意に思わぬところでそっくりさんを見てしまい、心が波立ってしまうのは困ったものである。もちろん、心が波立ったところで、何をどうするわけでもないのだが、ただただ、心切なくて、苦しくなるのである。ただそれだけの話である。


新聞を読んでいて、驚いたので、駄文をしたためた次第である。

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