第536話 リンゴ、ありがとう。
先日、ポール・マッカートニーが年内に“The Beatles”の名義で新曲を出す、とアナウンスを出した。ジョン・レノンが作曲した原曲に、ポールたちが音を上乗せして発表するようである。
以前にも書いたが、この話を聞いたときに、一番気になったのは、ジョージ・ハリスンのことだった。ビートルズで一番年下のメンバーだったが、2001年に病没している。なので、この新曲に、リアルタイムでジョージが参加することはできない。
ポールは「AIを使って、元のデモテープからジョンの声をクリアにした」と発言があった。これはジョンの声を合成したわけではなく、ノイズを消しただけなので問題はないだろう。しかし、ジョージについては、仮にAIを使って、ジョージらしい音とフレーズを持ってきたとしても、それはジョージ自身が演奏したものではない。ジョージがいなければ“The Beatles”とは言えないだろう、と懸念していた。
数日前、リンゴ・スターの「この新曲」に対するインタビュー記事がネットに流れていて、彼曰く「ジョージのパートは、以前に取り終わっているよ」とのことだった。
1995年だったか、“Beatles Anthology”プロジェクトが動き、ジョンのデモテープに合わせて3人が音を重ね、“Free as a Bird”、“Real Love”の2曲を新曲として発表した。Anthologyのアルバムは3枚あったが、3枚目だけは新曲が入っていなかった。
なので、今回発表される曲は、本来ならAnthologyの時に発表したかった曲で、途中まで作業を進めていたのだろう。ジョージがこの曲にあわせてコーラスやギターを演奏していたのであれば、その上にリンゴとポールが音を重ねて、“The Beatles”名義で発表してもいいだろう。
リンゴの言葉を聞いてほっとした。では、新曲が発表されるのを楽しみに待つことにしよう!
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