第440話 大地震だと、離れていても影響を受けるのだなぁ
本昼、能登半島で大きな地震が発生した。現地は死者も出るような被害が出たようである。被災された方に心からお見舞い申し上げたい。
この地震で、現時点で日本一の高さの「あべのハルカス」が影響を受け、高層階につながるエレベーターが一時停止したというニュースが流れた。高層階に80人ほどの人が一時取り残されたそうである。
高層階に閉じ込められた人の話では、立ち眩みのような揺れを感じた、とのことである。
結構な距離であるが、影響を受けるものだなぁ、と思った。
東日本大震災の日、地震発生当時は、修業した研修病院で、卒業後非常勤として続けていた訪問診療を行なった後、医局でカルテ入力をしていたところであった。
診療所で当直、朝の会議を終えた後で、高速道路を飛ばして研修病院に通っていたのだが、カルテ入力中に、不意に身体が揺れるような感じを受けた。
「地震?当直したりしていたから、疲れているのかなぁ?」と気になり、隣のPCでカルテ入力をしていた後輩に
「なぁ、今、なんか揺れた感じしてへん?」
「先生、疲れてはるんですか?別に揺れてないと思いますよ」
「そうかぁ、疲れているんかなぁ?」
と話をしていると、医局にいた別のDr.が、
「なんか揺れてへん?テレビつけよか」
と言って、テレビをつけた。たまたまチャンネルがNHK総合になっていたのだが、東北地方で大地震が発生した、と報道していた。
後輩に、
「ほらぁ、やっぱり揺れてたやん。自分(大阪では対等、あるいは目下の人で、「お前」と呼ぶほど親密ではないが、それなりに親密な相手のことを「自分」と言うことが多い)、どっしり構えすぎやでぇ」
と軽口を叩いたことを覚えている。
「しかし、東北で起きた地震で、大阪が揺れるなんて、どんなにデカい地震なんやろう」と思いながら、しばらくNHKを見ていると、大津波情報が流れ、そのあと、恐ろしい津波が放送されてきた。
9.11同時多発テロの時、夕食を食べながら、当時午後10時からテレビ朝日系で放送されていた「ニュースステーション」を見ようとテレビをつけたところ、画面には、WTCに飛行機が突き刺さっている映像が流れてきた。
チャンネルを間違えて、映画でも見ているのかな、と思ったが、やはり間違えではなく、アメリカでリアルタイムに起きていることが流れてきた。もう一機の飛行機が突っ込んだところまで覚えている。
TVの画面上だと、想像を超える出来事が起きたときには、リアルタイムで放送されていても、映画を見ているような感覚で、まるでリアリティを感じなかった。東日本大震災の津波の映像も、その時と同じように、まるでリアリティを感じない、まるで別世界の出来事を見ているように感じたことを強く覚えている。
閑話休題。今回の地震では、大阪では、地表ではほとんど感じない程度のものだったのだろうが、背の高いあべのハルカスの高層階では、おそらく揺れが増幅したか、共振したかで、揺れを感じるほどになったのだろう。
「あべのハルカス」でのニュースを聞いて、いろいろ思い出した次第である。
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