第316話 純粋に「死亡率」だけの比較ですが。

ネットでの報道を見ると、週刊誌からのソースで目に付くのだが、「新型コロナワクチンはこんなに恐ろしいものだ」という報道が多いように思う。


昨日だか、某大学病院法医学講座の教授の話として、「新型コロナワクチン」接種後急死した方の司法解剖を行ったが、教授の診断は左下肢深部静脈血栓症→肺塞栓症を強く疑う、と結論付けていた。それはそれでよいのだが、わざわざ「肺静脈にはゼリー状の血栓がたくさん」などと表現されていた。


司法解剖ではなく、病理解剖に研修医時代はよく入れてもらったのだが、静脈系は容量血管(血液のストック場所としての血管)の役割を持っているので、当然患者さんが亡くなり、血液循環が止まると血液は凝固するのだが、凝血塊は圧倒的に静脈系に溜まっていたと記憶している。「ゼリー状の血栓」なんて仰々しく書いているが、体内でできた血栓は時間が経っていなければ、「ゼリー状」なのが当たり前なのである。


そんなこんなで「新型コロナワクチンは危険だ」という論調をしばしば見るので、本当かどうか、調べてみた。当然このことについては「厚生労働省」も真剣に考えている。


現時点で、「新型コロナウイルスワクチン」との関連性が否定できない死亡者数は約2000人と報道されている(R5.1/20の会議の時点で1996名)。もちろんこれは、「コロナワクチンが原因の「死者」だけではなく、「ワクチン接種と死亡の関連が否定できない」人も含んでいる。


この2000人が多いのか、少ないのか、判断の基準は、COVID-19の死亡率である。


Yahoo Japanで新規感染者数、累計感染者数、累計死亡者数が毎日更新されているので、その数字を本日(2/8現在)で見てみると、総数だけで比較すると、概算として、これまでに約3300万人が感染し、死亡者数が約7万人であり、死亡率は約0.21%と算定できる。


ワクチン接種に伴う死亡率については、死亡者数をワクチン接種総回数で計算する必要がある。というのも、1回目で亡くなった人もいれば、3回目で亡くなった人もいるので、ワクチン接種の総回数に対して死亡者数を勘案しなければならない。ところが、ワクチン接種総回数については、4回目のワクチン接種から2価のワクチンが開始され、現時点では2価のワクチンを接種すれば、ワクチン終了となり、5回目で2価のワクチンを打ったのか、4回目で2価のワクチンを打ったのか、正確な数字が得られなかった。一応Yahoo Japanのサイトから、「確実にこれだけは接種されているだろう」という数字を計算すると約2億6000万回の接種がされている。これで死亡者数が約2000人とすると、コロナワクチンでの死亡率は約0.0008%となる。概算にはなるが、COVID-19感染に伴う死亡率は、ワクチン接種の死亡率の約260倍となる。


さぁ、オミクロン株以降は死亡率が低下している、という話が出ているが、それでも、死亡率が0.0008%ということはない。


さて、ワクチンが恐ろしい、と言ってワクチンを打たないのがいいのか、COVID-19に感染するのがいいのか、それを決めるのは自分自身だろう。

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