第294話 NHKラジオ第一「さえきけんぞうの『20世紀POPS』」

医師となってから、多忙となったためか、TVを観ない妻との生活が長くなったためか、ラジオを聴くことが圧倒的に多い。夜、布団に入るときは小さな音で、NHKラジオ第一「ラジオ深夜便」を流しながら眠っている。起床時には朝の番組「マイあさ」を聞きながら目覚め、ラジオを聴きながら朝食を摂っている。「ラジオ体操」が始まるころに出勤し、車の中でもカーラジオはNHK。帰宅時もカーラジオはNHK。でまた就寝時は「ラジオ深夜便」。と、最近の私はNHKラジオ第一に依存しているような生活である。


本日は土曜日。AM6:15分から「さえきけんぞうの『20世紀POPS』」というコーナーが放送されている。今日のテーマは「お酒の失敗」。これをテーマに2曲が選択されていた。1曲目は植木等とクレージーキャッツの「スーダラ節」、2曲目は原曲がフォーク・クルセイダーズの「帰ってきたヨッパライ」の「コウメ太夫」カバーバージョンだった。


「スーダラ節」は「お酒の失敗」というテーマにしては、お酒が絡んでいるのは1番だけなので、微妙な選曲だ、と思いながら聞いていた。


1990年代に、一時「植木 等」ブームがあったことを記憶されている方は少ないと思う。ただ、何がきっかけだったか忘れたが、スーダラ節などが再流行し、FMなどで流れていた(そのころはFMをよく聴いていた)。私もリバイバル&新曲も入ったCDを購入した。


受けを狙ってカラオケで「スーダラ節」を歌ったりもしたのだが、簡単に見えて、「スーダラ節」、すごく難しい。軽いノリの中でメリハリをつけ、サビの「スーイスーイスーダラダッタ…」のところは流れるように歌うのがとても難しい。極端に高い音や低い音があったり、シャウトが必要だったり、というものではないのだが、植木 等氏のように全体的な軽いノリの中で表情をつけるのは相当の技量がいる。試しにカラオケで「スーダラ節」を歌ってみるとよい。なんとなくモサッとした感じになるだろうと思う。


今日久々に「スーダラ節」を聞いたが、やはり上手いなぁ、と思った。コメディアンとしても名の通った植木氏だが、本来は物静かで生真面目な人だったそうだ。「スーダラ節」は青島幸男氏が作詞したそうだが、植木氏は、一度は、「このようないい加減な歌は…」と断られたそうだ。しかし青島氏は、歌詞の中の「わかっちゃいるけどやめられね」というフレーズは人間の業を表しており、親鸞の教えにも通じるものだ、と口説き、歌ってもらうことができた、というエピソードがあるそうだ。


「帰ってきたヨッパライ」を初めて聞いたのは、小学生のころだっただろうか?確かお昼の校内放送で聞いたような気がする。今の時代、「飲酒運転」はすべてを失うほどの犯罪行為だが、40年ほど前はいい加減なものだった。飲酒運転で天国に行ったヨッパライが、天国でもお酒を飲み続け、天国の神様から追い出され、天国への階段を下りていく途中で階段から落っこち、気が付いたら畑のど真ん中で生き返った、という曲である。


原曲はkeyが高いので、オリジナル曲は、テープの早回しで高いトーンの曲を作っていたが、コウメ太夫氏は、テープ操作なしで、原調で歌っていた。立派なものであるが、一つ残念だったのが、コーラスが入っていなかったことである。「天国良いとこ一度はおいで」のフレーズ、原曲ではハモりが音の厚さとなって、すごく印象的なのだが、コウメ太夫バージョンではハモりがなく、そこがミュージシャンであるザ・フォーク・クルセイダーズと、コウメ太夫氏の違いなのだろう。


しかし、なぜ原曲を流さなかったのだろうか?著作権など、いろいろな問題があったのかもしれない、と考えてみたりする。


しかしながら、土曜日の早朝からこの2曲を流すとは、NHKラジオ第一、なかなかなものである。


ちなみに、今日の夕方、帰宅時のNHKラジオは「地球ラジオ」という番組を放送していたが、シドニー在住の小学5年生と2年生の日本人姉妹が、学校生活の作文を読んだりなど、現地での生活を紹介する、というコーナーが10分ほどあり、そのコーナーの終わりに曲を流したが、その曲が鳥羽一郎氏の「兄弟船」だった。かわいい姉妹の声と鳥羽一郎氏のコブシの対比、見事である。番組ツイッターにもその選曲について、多数ツイートが寄せられたようである(生放送なので、リアルタイムにパーソナリティがコメントしていた)。


以前にも書いたことがあるが、NHKラジオ第一、恐るべし。

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